| 藤野 |
いろいろなことでよく悩むんですが、その度に、占いは頼りない、宗教はちょっと怖い、おばあちゃんの知恵袋も今ひとつ(笑)って感じるんです。その答えが哲学にあるような気がして…。 |
| 竹田 |
占いや宗教は、古くから伝わる立派な人たちのよい知恵に、思い切って信頼して任せようとする考え方。それで満足できる人はもちろんそれでOK。ただ、困難な問題にぶつかったとき、自分できちんと考えて納得したいという人には、哲学が向いていると思います。 |
| 藤野 |
そう、ちゃんと自分で考えてみたいんです。でも、哲学書って難しい呪文のような言葉がいっぱい書かれているじゃないですか。もうちょっとわかりやすく説明してほしいんです。明日からすぐ使えるように、です! いえ、できたら今日、たった今から! |
| 竹田 |
あ、はい…。では、ひとつ、哲学者の格言を考えてみましょう。たとえば、キルケゴールの言葉、「気絶した人には、オーデコロンが効く。でも絶望しかけている人がいたら、可能性をもってこい」。これ、ちょっと核心をついていると思いません? |
| 藤野 |
自信を持ってピンときません! いきなり深みにはまっちゃった。やっぱり難しいじゃないですかー! |
| 竹田 |
まあまあ、焦らずに。キルケゴールは、人間は要するに「可能性の連続によって生きている」と言った哲学者。この格言は、人間は絶望したとき「やけっぱちになる」「死ぬ」「ほかの可能性を探す」の3つしか選択肢がない。で、もしこの3つ以外にはないということが十分腑(ふ)に落ちたら、人間は必ず可能性を探す、という原理を示したものなんです。 |
| 藤野 |
絶望したときの選択肢って、たったの3つポッキリなの!? しかも「可能性」しかいいの残ってないじゃないの〜。哲学って、最初にズバリ結論を言っちゃうのね。 |
| 竹田 |
そう。この3つ、この2つしかありません、ってハッキリ言っちゃう。でも、それは神のお告げなどではなくて、哲学者たちがリレーしながら突き詰めて考えて出した答えなんです。人間、よーく考えれば、これについてはどうしてもこう考えるしかない、という道だけ探して進む。だから、哲学は、誰にでも使える思考の原理を示すものなんですね。たとえば、藤野さんが考えると、この結論に至るまでに何十年もかかるかもしれないけれど、哲学者の格言はすぐそれにちゃんと答えてくれる。 |
| 藤野 |
そうね、私の場合は何十年もコツコツ…って、失礼じゃないですか! そういう竹田先生は何年かかって原理に至ったんです? |
| 竹田 |
うーむ、それは…。 |
| 藤野 |
時間かかってますけど(笑)。 |