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「過去を前向きにとらえることで、自分のなるべき姿が見つかる」

 「世界でいちばん淋しい遊園地」は、懐かしさと寂しさを思い出させてくれる。舞台は78年の歴史に幕を閉じようとしている遊園地。「思い出がつまった、記憶の玉手箱のような遊園地に対する“ありがとう”という気持ちを小説の中にとどめておきたかった」と西田俊也さん。誰もが一度は行ったことのある遊園地という場所だからこそ、さまざまな郷愁をかきたてられる。「過去に対して後ろ向きなイメージを持つ人が多いけれど、過去を思い出し、向き合うことで現在・未来があるというふうに考えた方がいいな、と」

 登場する人物は皆、過去の楽しかったころの記憶を遊園地という場所で思い起こし、現在の自分に区切りをつけようとしている。「出来事や場所など、何かをキッカケに昔のことを思い出すのは男女とも同じ。ただ男性は過去を美化してしまいがちだけれど、女性は生々しく覚えているのは大きな違いです」。過去と向き合い、自分が何をしてきて、どんなことを考えてきたのかを知った上で、新たな思い出をつくる。そうすることで、どんどん前に進み、男女問わず人として磨かれていくのではと西田さんは言います。向き合うことを避けていた過去を振り返り、今までの思い出をこれからの思い出に“更新”することで、未来への希望を見つける登場人物たち。「思い出にひたるということはとても甘美な行為だから、封印することではないんです。思い出を振り返っている部分も含めて、現在であり、そこから続いていくのだから」

2005.3/9更新
西田俊也さん
「世界でいちばん淋しい遊園地」
西田俊也さん
1960年奈良生まれ。少女小説、作詞、映画脚本など多彩なジャンルで活躍。ほかの著書に「やんぐとれいん」(文藝春秋)、「もう起きちゃいかがかと、わたしは歌う」(幻冬舎文庫4月発売予定)、「love history」(メディアファクトリー)など
世界でいちばん淋しい遊園地「世界でいちばん淋しい遊園地 2)魔法のあった場所」
「野性時代」(角川書店)4月号に西田さんの新作が掲載中
 閉園間近の遊園地にまつわる、さまざまな人たちの思い出。中学生のころの淡い記憶をたどる青年、それぞれの思い出を胸にお互いの関係を見直す男女など、遊園地という場所を通して、一人ひとりが過去の自分と向き合っていく。
love history誰にでもある忘れられない昔の恋。結婚前夜の女性が過去にあったすべての恋の時代に逆戻りしてしまう物語「love history」(メディアファクトリー)は話題を集めロングセラーに