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「大切なのは誰に何を託されるのかということ」

 石田衣良さんの最新刊「ブルータワー」の主人公は、新宿の高層マンションに暮らす43歳の瀬野周司。悪性の脳腫瘍に侵され、さらに15年連れ添った妻には若い自分の部下と不倫されている彼が突然、黄魔(こうま・インフルエンザの進化したもの)の猛威にさらされた23世紀の未来に、意識だけ飛ばされるところから物語は始まります。「現代に絶望し、追いつめられた人間が、未来の世界を必死で救うことになる。人望はあるけれど能力はあまりない平凡な男が、周囲の犠牲を伴いながらも前に進んでいくことで、段々と人間として磨かれていくのです」と石田さん。瀬野は黄魔から世界を救う答えを模索する中、彼の話す非現実的な未来の話を信じ、病も含め、すべてを受け入れてくれた女性部下に支えられたことで本当の愛を知ることになる。「自分自身が頑張ること以上に、誰に何を託されるのかというのが大切。最近の男性もそうですが、女性が信用してくれることで頑張ることができるんです」

 「自信も気力もなかった瀬野が世界を救おうと思えたのも、信じてくれた女性がいたからなんですね」と読者の北聡美さんも納得した様子。また、瀬野をとりまく男たちとの信頼関係も魅力のひとつ。戦闘場面での瀬野とボディーガードとの強いきずなが印象に残り、「上司と部下を超えた深いつながりを感じ、うらやましいと思いました」という斎藤絵美子さん。

 「男性には何かひとつ、成功体験を持たせてあげると自信がついていいですよ」と、石田さんは2人にアドバイス。この主人公のように、周りにいる男性も、私たち女性の気の持ち方で、眠っている才能を目覚めさせられるのかも!?

2005.3/9更新
石田衣良さん
「ブルータワー」
石田衣良さん
1960年東京生まれ。1997年「池袋ウエストゲートパーク」(文藝春秋)でオール讀物推理小説新人賞を受賞。2003年「4TEENフォーティーン」(新潮社)で第129回直木賞受賞。ほかの著書に「1ポンドの悲しみ」(集英社)、「約束」(角川書店)など
石田衣良さんとシティ読者
戦闘場面では指揮官として頼もしい姿を見せる瀬野。「間違ったときに迷いを見せないのは統率する者の常識。上司が迷いを見せたら部下は不安になってついてこない。会社と一緒ですよね」という石田さんの言葉に、シティ読者の北聡美さん(左・27歳/商社)と斎藤絵美子さん(右・25歳/メーカー)も共感
ブルータワー「ブルータワー」
徳間書店、1785円
 悪性の脳腫瘍(しゅよう)に侵され、余命わずかとの宣告を受け、生きることに対して絶望感を抱く瀬野周司。ある日、脳の痛みで意識を失い、目覚めた場所は黄魔の恐怖にさらされる中、「青の塔」が支配する23世紀の世界だった。地獄と化した未来を救うための方法を、彼は残された時間で探し始める。