力と技、闘志と勇気、一瞬の攻防が勝負を分ける。妥協も打算もないリング上で己を刻み付ける男、須藤元気。「希代のトリックスター」と呼ばれる独創的なファイティングスタイルは、多くのファンの心をとらえて離さない。幾多の大会で絶大なる存在感を見せ、プロ格闘家として確固たる地位を築いているが、その活動はリングの上だけにとどまらない。「格闘技が僕の人生ではない。テーマは人間的にいかに成長するかということ。格闘技はそのためのツールのひとつなんです」
ロサンゼルスで柔術の技を磨き、逆輸入ファイターとして日本でプロデビューした前後は、ひたすら強くなり、富と名声を得ようと必死だった。だが、勝敗によって評価される世界にいながら、やがてそこに真実はないと気付く。「結局、パワーゲームにはまっていたんです。そうした目に見えるものは幻想だと分かった。自己表現の手段、生きるためのツールはいっぱいありますからね」。
映画やドラマ、音楽と活動の幅を広げ、このほど出版された2冊目の著書「風の谷のあの人と結婚する方法」(ベースボールマガジン社)も好評を博している。多彩な才能を発揮するなか、信念として貫かれているのが「WE ARE ALL ONE」という思想。物質的ではなく、幸福に生きるためのメッセージがそこにある。
「幸せはとらえ方にある。とらえ方を変えると世界が変わる。世界を変えるには、自分を変えることです」
常に成長し続ける男のフィールドは、無限に広がっている。 |