フォーミュラ・ニッポン参戦2年目にして、シーズン優勝を狙う注目のレーサーがいる。昨年も、最終戦までシリーズチャンピオン争いにからんだ唯一の日本人ドライバー、井出有治。今季は7戦を終えて2位と好位置につけ、「昨シーズンの獲得ポイントはすでにクリア。調子もいい」と、サラリと言ってのけるところが頼もしい。
今でこそトップドライバーと称されるが、沈んでいた時代もあった。19歳でF3参戦を果たすものの、思うようにレースに出られない悔しい日々が4年も続く。その後、下位クラスのFormula
Dreamから、再スタート。そんな中でも、“速い男”にあこがれ続けたことが、今日の井出有治を生んだ。
苦々しくも豊富な経験を積んできた井出にとって、最終戦の鈴鹿は最も相性のいいコース。「F3、Formula
Dream時代に、走り込みましたからね」。確かな自信に加え、「ポイント計算は忘れて、とにかくレースに集中したい」と、迷いはない。「コンマ何秒に、トップレーサーが、ひしめき合う世界。走りをまとめようとしたら勝てないから」
とはいえ、トップ3の顔ぶれは、井出のほかにチームメートでもある本山哲、昨年度チャンピオンのリチャード・ライアンとつわものぞろい。戦略は? 「これまで同様速く走るだけ」と、見事なまでにマイペース。聞けば、レース直前は眠ってしまうことも多いとか。「緊張すると、逆に眠くなっちゃって(笑)」。この図太さも、強さの秘密かもしれない。 |