夏のオフシーズン、米澤穂高は筋力、瞬発力、持久力、バランス、メンタル、呼吸法…と、あらゆるトレーニングに励んだ。トランポリンでジャンプのイメージをつかみ、ウオータージャンプで水面に着地する練習をして段階を踏んでいくといった練習も。「モーグルはいろいろな要素がある。だから面白い」と言う。
子どものころからあらゆるスポーツをしていた。スキーも昔からやっていたが、モーグルを始めたのは高校1年。「コブが大嫌いだったけど、飛んだりするのは好きでした。そして目立つなと思って(笑)。リレハンメル・オリンピックで里谷多英選手の活躍(11位)も見ていましたし」
やってみると案外順調に滑れて、1年後には強化選手らが参加するカナダ合宿に呼ばれた。そこで全日本コーチのスティーブ・フェアレンに、基本を大切にすることを徹底的に教わった。「基本的な練習を一日中したり。その合宿で初めて海外に行きましたが、スキーの文化が違うことも実感しました」。小さい子が普通にキャンプに参加しているカナダに比べ、日本にはモーグルの文化が根付いていないと痛感。この合宿が米澤のモーグル選手としての原点といえる。
「目標は5年後のオリンピックでのメダル。そのためにハイスピードと技術を安定させて、世界と戦えるようにしたい」。文武両道で賢くなければと話す米澤からは、“メンタル面で弱い日本人”を打ち破るスケールを感じる。落ち着きの中に頼もしい可能性を秘めた24歳である。 |