「死ぬまでにしたい10のこと」に続き、イサベル・コイシェ監督の「あなたになら言える秘密のこと」でヒロインを務めるサラ・ポーリー。監督がサラのために書いたという今回の役柄は、ある秘密を抱え、毎日を淡々とやり過ごしているハンナ。旅に出た彼女が、事故で傷ついた油田掘削所の作業員の看護を通して心を開いてゆく、希望と再生の物語だ。
「イサベルの脚本は前作同様にとても美しく、心を打たれたわ。彼女は映画をいつもフェアリーテールとして撮るけど、単なるおとぎ話ではなく、可能性を感じられる物語だからすごい。掘削所の料理を口にしたハンナが食べる喜びに目覚め、生きる力を取り戻してゆくエピソードも、現実にあり得ることだと思うの」
過去を封印したハンナをクリエートすべく、努力を重ねたというサラ。
「包帯の巻き方、注射の打ち方など看護師としてのトレーニングにはずいぶん時間をかけたわ。工場での作業シーンのために1日だけ、本物の工場に勤務したり、ハンナの母国語のアクセントをつけるため発音コーチについたり。とにかくいろいろなことを、同時進行で学んだの」
とはいえ、いちばん大変だったのは“ハンナの心”への準備だったと語る。
「彼女の身に起きたことは、おそらく私にはもっとも遠い、縁のない出来事。だからこそ心理的な理解を深め、正確に演じなければという、責任やプレッシャーが大きくて。もちろん実際にハンナのような経験をした人たちの気持ちは、そう簡単に理解できるものじゃないけど。少なくともハンナ役を通じて、世の中の問題について考えさせられ、心が豊かになった気がする。一日一日の幸せに感謝しながら精いっぱい生きていくことの大切さを、あらためて実感したの」。自らも脚本を書きメガホンをとるサラだけに、映画への愛もひとしおだ。
「この作品を特別なものにしているのは、悲劇的な状況にも必ず希望を見いだし、どんなダメージを受けようとも生き抜く人間の力強さ。イサベルの“思い”をぜひ感じてほしいわ」
(ライター 柴田メグミ) |