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2006.8/2更新
“歌舞伎体操のお兄さん”は、熱くこだわるカブき者
市川染五郎

 最近、市川染五郎さんに新たなファン層ができた。きっかけは、現在出演中のNHK教育テレビの番組「からだであそぼ」で人気のコーナー「歌舞伎たいそう いざやカブかん!」。 歌舞伎で遊べる環境をつくりたいという思いから、自ら企画したコーナーで、子どもたちと一緒に“歌舞伎体操”をしている。

 「子どものころの僕は、父(松本幸四郎)の舞台を見て、マネごとをしたりしていました。歌舞伎ごっこは楽しい遊びだったんです。でも、一般的に歌舞伎って、歴史の授業など勉強で接するのがほとんどでしょ。子どもたちに、遊び道具のように歌舞伎に親しめる環境があったら…と、ずっと思っていました」 

 企画のほか、曲のプロデュース、振り付け、出演と4役こなす。歌舞伎の名セリフと独特のリズムをアレンジした曲は、耳になじみやすく、つい口ずさんでしまうほど。「曲を聴きながら、思うままに振り付けた」という振りは、歌舞伎の見得(みえ)や所作、日本舞踊の動きを取り入れた。「歌舞伎たいそう いざやカブかん!」には、“歌舞伎”そして“染五郎”のエッセンスが凝縮されている。

 タイトルの「いざやカブかん!」は、歌舞伎の語源でもある「傾(かぶ)く」に由来する。“伝統や権威、概念に縛られずに生きること”を指す昔の言葉だ。そんなふうに“カッコよく生きよう!”との思いを込めたという。では、染五郎さんにとってのカッコいい生き方とは?
 「こだわりを持つってことかな」
 そのこだわりとは、もちろん歌舞伎。好きだから、こだわる。 
 「お客さんに喜んでいただくことだけがすべてじゃなく…自分が満足することもできて、初めて理想がかなうと思うんです。求めに応えたり、役者として舞台に引っ張りこんだり、綱引きをするように、お客さんと対話できたらいいですね。好きだからね、やりたいこともたくさんありますよ。脚本を書いたり、音楽も作っていきたい。何をするにしても、キーワードは“歌舞伎”ですね」

 端正な顔立ちの内に、熱い思いを抱くカブき者。今後もどんな染五郎が見られるか楽しみだ。

坂井真紀
プロフィール
市川染五郎

1973年、松本幸四郎の長男として生まれる。79年、松本金太郎として初舞台。81年、七代目市川染五郎を襲名。87年、史上最年少の14歳で舞台「ハムレット」に主演。97年、映画「ラヂオの時間」で本格的映画デビュー。 ドラマ「龍馬がゆく」、舞台「阿修羅城の瞳」、映画「蝉しぐれ」など幅広いフィールドで活躍。歌舞伎では、3月に三谷幸喜と新作歌舞伎を上演。8月は歌舞伎座で「南総里見八犬伝」に犬塚志乃役で出演。同舞台のチケットは、31面チケットファンで取り扱い中。

撮影/宮田知明 文/シティ編集部 猪俣沙織
青春☆金属バット
DVD「NHKからだであそぼ 決定版歌舞伎たいそう いざやカブかん!」2940円( ポニーキャニオン)8月18日(金)発売予定。振付師の松本錦升とは、染五郎さんの舞踊名