最近、市川染五郎さんに新たなファン層ができた。きっかけは、現在出演中のNHK教育テレビの番組「からだであそぼ」で人気のコーナー「歌舞伎たいそう いざやカブかん!」。 歌舞伎で遊べる環境をつくりたいという思いから、自ら企画したコーナーで、子どもたちと一緒に“歌舞伎体操”をしている。
「子どものころの僕は、父(松本幸四郎)の舞台を見て、マネごとをしたりしていました。歌舞伎ごっこは楽しい遊びだったんです。でも、一般的に歌舞伎って、歴史の授業など勉強で接するのがほとんどでしょ。子どもたちに、遊び道具のように歌舞伎に親しめる環境があったら…と、ずっと思っていました」
企画のほか、曲のプロデュース、振り付け、出演と4役こなす。歌舞伎の名セリフと独特のリズムをアレンジした曲は、耳になじみやすく、つい口ずさんでしまうほど。「曲を聴きながら、思うままに振り付けた」という振りは、歌舞伎の見得(みえ)や所作、日本舞踊の動きを取り入れた。「歌舞伎たいそう いざやカブかん!」には、“歌舞伎”そして“染五郎”のエッセンスが凝縮されている。
タイトルの「いざやカブかん!」は、歌舞伎の語源でもある「傾(かぶ)く」に由来する。“伝統や権威、概念に縛られずに生きること”を指す昔の言葉だ。そんなふうに“カッコよく生きよう!”との思いを込めたという。では、染五郎さんにとってのカッコいい生き方とは?
「こだわりを持つってことかな」
そのこだわりとは、もちろん歌舞伎。好きだから、こだわる。
「お客さんに喜んでいただくことだけがすべてじゃなく…自分が満足することもできて、初めて理想がかなうと思うんです。求めに応えたり、役者として舞台に引っ張りこんだり、綱引きをするように、お客さんと対話できたらいいですね。好きだからね、やりたいこともたくさんありますよ。脚本を書いたり、音楽も作っていきたい。何をするにしても、キーワードは“歌舞伎”ですね」
端正な顔立ちの内に、熱い思いを抱くカブき者。今後もどんな染五郎が見られるか楽しみだ。 |