「実は僕、この手の映画は苦手なほうなんです…」。和田聰宏さんの、冒頭からのぶっちゃけ発言に少々、戸惑った。いやいや和田さん、今回は35年前に集団失そうした小学生たちが、当時のままの姿で現れるという映画「雨の町」の話をうかがいに来たのですが・・・。
「ホラーはあまり自分で見ないし、それを人に見てもらうというのは心苦しいかな、と。でも、“雨の町”は単にホラーというジャンルでくくることができない作品なんです。恐怖描写だけでなく、よみがえってきた子供を目の前にして揺れ動く家族の心が描かれていたので、ぜひやってみたいと思ったんです」
正直でまっすぐ。そんな性格の和田さんだから、役に取り組む姿勢も真摯(しんし)だ。本作品では、奇怪な事件のナゾを追う主人公のルポライターを演じた。ホラーといえば、見えないはずのモノが見えて絶叫するシーンが“お約束”だが、映画を見て驚いた。彼が、文字通り腰を抜かしながら逃げまどうシーンのリアルなこと! クールな和田さんのイメージがガラッと変わってしまった。
「結構、寡黙に練習しましたよ(笑)。あとは現場の山中が“出そう”な雰囲気だったので、演技というより、もう自然と“逃げるしかない!”という感じでした」
それにしても本作品のやさぐれルポライターに、公開中の映画「県庁の星」での厨房(ちゅうぼう)スタッフ、TVドラマ「東京湾景」での港湾作業員など、ガテン系の職業がよく似合う和田さん。実は美容師から役者に転職した変わり種。役者になってからも、ホテルのウエーターから害虫駆除作業員まで(!)数々のアルバイト経験を持つ。
「美容師時代は結構人気あったんですよ。オバさまに(笑)。あのまま美容師を続けていたら、今ごろカリスマ美容師として店長ぐらいにはなってたでしょうね。でも、美容師を辞めたことを後悔したことはありません。役者での経験も多くのバイトも、すべて“生きざま”として出てくると思いますから」
(映画ライター 中山治美) |