まるで叙情詩のように、現代女性の日常や恋愛模様を描いた映画「雨よりせつなく」。表情や視線、ちょっとした動作でストーリーが展開し、受け手の心情や経験によっていくつもの解釈ができる作品だ。セリフが少ない分、演技力が問われる難作で、映画初出演にして主演をこなしたモデルの田波涼子さん。
「初めての経験でしたので、演技というものを監督にイチから教えていただきました。たとえば、歩き方や視線。そして、言葉の響き。求められているのはモデルとしての自分ではなく、ある意味素の自分でしたので考えることが多かったですね」 女性誌の表紙を飾るなど、長年トップモデルとして活躍してきた彼女にとって、“モデルっぽさ”を捨て切ることは最初の壁だった。「モデルは一瞬を形に残すもので、テンションを自分でコントロールできるのですが、役者は違う。取り組み方の違いに戸惑ったけど、いつもの自分のペースを守りながら、スタッフと一緒によく食べて頑張りました!」
意気込みすぎて台本を何度も読むうちに、共演者・西島秀俊さんのセリフまで丸暗記してしまったとか。
「返事をして振り向くシーンがあったのですが、呼ばれる前に振り向いちゃって(笑)。西島さんは普段もナチュラルな方で、演技か素なのか分からなくなるほど自然体でした」
本作では、過去に大きな恋愛の傷を持った男性を好きになる役を演じた彼女だが、実際の恋愛観は? 「私は好きな人とはずっと一緒にいたいタイプなので、過去に何があっても忘れさせたい。でもね、演じていくうちに、もしかしたら難しいことかもしれないって思ったの」と、やわらかな口調で話してくれた。
「“今の自分”で見て、何かを感じてもらえたら。そして、何年後かにまた見たとき“あのときの自分はこう感じてたな”って、心情の変化を知るバロメーターみたいな作品になってくれたら本当にうれしいです」 |