「今までの僕の中にはない世界観に飛び込んでいく前の、いい意味の不安と期待でいっぱいです」。この秋、俳優・萩原聖人さんが挑むのは、唐十郎さん作の舞台「調教師」だ。これまでもドラマや舞台で活躍してきたが、唐さんの舞台に立つのは初めて。「唐さんの独特な世界に参加するのは、自分でも画期的なこと。やってみないと分からない部分も多いので、あんまり余計なことを考えすぎたり、“自分はこうだ”と作りすぎたりせずに、ピュアな気持ちで、スポンジのような状態で臨みたいと思っています」
「けいこ場は苦しい入院中で、本番は退院後みたいなもの(笑)」と、舞台の苦しさと楽しさをたとえる。「そういう意味でも、今回は違う感覚がある。初めて出会う人だけでも、必ず初めての感覚があるでしょ? だから僕にとっては、未知の才能というか、未知の自分を発見できるかもしれない、新しい自分が見つかればいいな、という期待があるんです」
今、俳優としても一人の男としても迷っている、という。「どこに向かっているのか、どこに行こうとしているのか、迷っています。ちゃんとしなきゃって。だからこそ、こういう芝居をやろうと思ったんです。ここ何年かで、環境も考え方も変わるキッカケになるような、いろいろなことが起きたので、このまま役者を続けてもいいのかと、立ち止まったこともありました。ただ、今は腐っていくのではなくて、健全な精神で迷っている。歩いていけば何かあるぞって変わってきた。ネガティブな感情が強い時期もありましたが、今は目の前のことをめいっぱいやっていって何かが見えてくれば…と思っています」
萩原さんといえば、マージャンのウデがプロ級。先日も、プロと対局して、アマチュアながら日本一になったそうだ。「マージャンは運もあれば確率もあり、人生の縮図。マージャンでは先を読めるのに、自分の人生は全く先を読めない(笑)」
「男としてちゃんとしなきゃと思うけど、俳優という職業に定年がないのは、幸いかな。僕の永遠のテーマなんですけど、その年齢でしか出せない、色気を出せるようになりたい。芝居のうまい下手じゃなく、役者は色気がないと絶対にダメなんです。僕はどんな色気を出せるのか…。皆さんも、もしまだ唐さんの舞台を見たことがないなら、今度の舞台で、僕と一緒に未知の世界で何か発見をしてもらえれば、と思います」 |