「8年前、3年前とは、セリフの言い方一つ違うだろうし、その都度、自分としての伝え方が変わるから、続いてきたんだと思う。今年、55歳なりの、観客に対する”仕掛け方”はどんなふうになるのか、自分でも楽しみ。それに、作品のテーマは、過去を振り返って今後の人生を見つめ直す、という誰にでも通じるもの。ボクも経験や反省を含めて、自分自身が重なる瞬間がある。失恋した女の子なら、いつまでも悩むのはやめようって思えたり、きっと人それぞれ感じるところがあるんじゃないかな」
「語り部は年取っても、劇中出演者は年取らない(笑)」。ロウソクや5歳の少年から幽霊まで全部たった1人で演じるのは、まさにだいご味。「一番大変なのは、パーティー会場に次々といろいろな人が集まってくるシーン。ハナタレ小僧やらお兄さんやらオバサンやらで部屋中に人があふれた、という状態を1人で作るんだけど、さすがにあれはハァハァするよ。その前にはパーティーの準備もしなくちゃいけないからね(笑)」。コミカルでユーモラスな変幻自在ぶりは、彼の真骨頂だ。「誰かが喜んでくれることが一番うれしい。それがこの世界に入った大きな理由だからね。カーテンコールのときにポツリポツリと手をたたかれると“どこがつまんなかったのかな”と気になるし、感極まっての拍手は何回もらっても役者みょうり。絶対に慣れることはない。だって、その人はその芝居のために1日使ってくれているんだから、その一瞬はものすごく大事」