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2004.6/16 更新
悲劇的な歴史を描く作品で、職人肌の本領を発揮!
ソル・ギョング

 韓国映画史上初の観客動員1000万人を突破、空前の大ヒット作として日本上陸を果たした「シルミド/SILMIDO」。30年以上にわたり韓国政府が隠し続けた“実尾島(シルミド)事件”を映画化した衝撃作だ。
 主演のソル・ギョングさんも「朝鮮半島の南北の問題は、韓国人にとってはとてもナーバスな部分。史実で実在の人物がいるだけに、この作品に出ることは、初めはつらく重かった」と話す。禁断の歴史を明かす骨太な作品は、今必見だ。
 「北朝鮮に潜入し、キム・イルソンを暗殺せよ」という極秘指令のもと、命を顧みない死刑囚ら31人が隊員として無人島・シルミドに集められ壮絶な訓練を行うが、いよいよ作戦決行、というその日に悲劇が始まる。ソルさん演じる訓練兵の、寡黙ながら強じんな実直さが余計に悲しい。
 「今の自分では、彼らの心情はしょせん想像はできない。だから“演技する”のではなく、あるがままの感情が自然に表れるように、ロケでも本当に過酷な状況に身を置きました。僕は昔から水が大の苦手なので、海に囲まれている無人島にいるだけでも憂うつで(笑)。特に水中訓練シーンは、本当に地獄でした。あれで一生分の水を飲んだ」
 真に迫る映像は圧巻。そして、国籍を超えた、人間としての究極の苦悩と悲劇がさらに胸を打つ。

 ソルさん自身も役柄同様、寡黙で実直。役によって体重をも自在に調整する徹底ぶりはまさに職人だ。

 「僕は“芸能人”といわれることには抵抗がある。実は華やかな席もカメラも苦手なので、自分が俳優になっていることは、高校の同級生の中でも七不思議なくらい。でも自己満足かもしれないけれど、映画にこだわってやっていきたいんです。映画はテレビのようにリモコンで簡単に見られないし、作る側としても時間と労力を惜しまずにじっくり取り組めるスタイルが好きだから」

 来日経験の多い彼に日本について聞くと、「奈良が好き。お寺があってシカがいて、あの風景はとても気に入っています。それと日本の女性はよく働く印象がある」と、コメントもやはり実直な印象。「水が苦手な僕ですから、“地に足をつけて” (笑)生きていきたいですね」と話す彼に、職人気質な穏やかさを感じた。
ソル・ギョング
プロフィール
ソル・ギョング
1968年、韓国・忠清南道生まれ。漢陽大学演劇映画科卒業後、舞台で活躍。1996年「つぼみ」で映画デビュー。1999年「ペパーミント・キャンディ」で演技派俳優としての評価を確固たるものとし、その後、多くの映画賞も獲得。2001年NHKドラマ「聖徳太子」で日本語の演技も披露。日本公開作として「ユリョン」「燃ゆる月」など。「シルミド/SILMIDO」は現在、全国東映系で公開中

撮影/齋藤ジン
取材・文/柏木ナオ(Applink)