何らかのきっかけで突然腰に激痛が走る“ぎっくり腰”は、医学的な診断名ではありません。ぎっくり腰は、腰や骨盤の筋肉、筋膜、靭帯(じんたい)、軟部組織の損傷によって急激に起きる腰痛の総称です。中でも多いのが腰椎(ようつい)のねんざと椎間板(ついかんばん)ヘルニアです。 重い物を持ち上げたり、振り向こうと体をひねったりしたときなどに起こるぎっくり腰は、主に腰椎のねんざです。これは骨盤の仙骨と腸骨の2つの骨からなる仙腸関節に付着する軟部組織の損傷によって起こり、その際に筋肉や筋膜も損傷します。原因としては、疲労やストレスの蓄積、スポーツのしすぎ、交通事故、打撲などが誘因となって骨盤を支えている筋肉群が弱くなり、仙腸関節の支持能力が低下することで関節がズレて痛みが起こるというわけです。骨盤の仙腸関節のズレは、痛みが引いたとしても激痛をもたらしていた炎症が治まっただけのことで、根本的な骨格部分のズレがそのままにされていては、また同じようにぎっくり腰になる可能性が非常に高いです。
また、一度傷めてしまった筋肉は完治するまで約1年必要なので、1年間は特に用心してください。ぎっくり腰が回復したら自分に合った腹筋・背筋運動で腰の筋肉を鍛え、再発を防ぎましょう。背中が冷えると筋肉が硬直して再発しやすくなるので、冬は冷えにも注意してください。また、荷物はしゃがんでから持ち上げる、不用意に体をひねったりしないなど、腰に負担をかけない動作を意識することも重要です。いすに足を組んで座るのは、一種の癖とはいえ、骨盤のひずみやアンバランスからくるものなので続けているとひどくなることもあり、足を組む習慣はやめたほうが無難です。
朝、目が覚めて飛び起きたときやトイレで用を足して立ち上がるときなどに起きるぎっくり腰は、主に椎間板ヘルニアです。急に体を動かすと、腰椎のまわりの筋肉に動く準備ができていないため、骨に直接力が加わります。するとクッション役の椎間板が突出して脊髄(せきずい)神経を圧迫し痛みが起こるというわけです。これを防ぐには、動作をするときに「これから起きるぞ」「これから立つぞ」というように意識することが大切です。わずか1秒にも満たない“間”をとるかとらないかで、ぎっくり腰になる確率がグンと少なくなります。あわてないのが一番です。また、長時間いすに座りっ放しでいると、体を支える体重が腰にかかり、そのままにしておくと血液の循環が悪い椎間板に負担がかかってヘルニアになってしまいます。デスクワークの人は、時々いすから立ち上がり、軽く体を動かすようにしましょう。
かなり重症なぎっくり腰でも、安静にして辛抱していれば、2〜3日でなんとか身動きできるようになります。そうならなかった場合は、迷わず整形外科を受診するようにしてください。 |