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あるものを考える
2005.6/29 更新

 ないものを嘆くより、あるものを考えることができるって、とても大切。10年前、阪神・淡路大震災を経験した私には仕事もお金もなかった。でも、神戸の友人たちに励ましてもらって、「今、私にあるものは何?」という発想になれた。考えてみると私には「時間」が山ほどあった。その時間で原稿を書いた。それが、後に「吉本興業女マネージャー奮戦記“そんなアホな!”」という一冊の本になって世に出たことで、いろんな出会いとチャンスをもらうことになった。

 あるものを考える大切さを身をもって経験しただけに、日々、あるものを考えるようにしている。私は仕事であちこち移動する。すると時々、新幹線が止まったり、飛行機が遅れたりといろんなハプニングに遭う。そのたびに「神様が与えてくれた時間」だと思うようにしている。現に今、車両故障で新幹線が止まった。「ラッキー」とばかりに、パソコンを取り出してこの原稿を書いている。それどころか、この出来事がネタを提供してくれたことに感謝している。この時間がなければ、今日もシティの原稿が書けなかったはず。

 私は人が思っているほど前向きな人間でもなければ、根性があるわけでもない。それどころか、とっても不器用な人間だと思っている。ただ、あきらめるのが悔しくて、いつもつらいことや不幸なことがあったときに、何とか壁の意味を見つけようとしてきただけである。でも、今だからみんなに言ってあげられる。壁にぶつかったときこそ、ないものや失ったものを嘆くのではなく、自分に「あるもの」と向かい合うって、とても大切だよ。

大谷 由里子
大谷 由里子
(おおたに・ゆりこ)
吉本興業で、故横山やすしのマネジャーを務め、宮川大助・花子などのタレントの売り出しにも成功。結婚退社の後、ベンチャー企業を立ち上げ社長に。現在は、生涯学習開発財団認定コーチ