舞台活動をメインとした、岸谷五朗さんと寺脇康文さんの企画ユニット「地球ゴージャス」。その名前は、ある“挫折感”に由来するという。「阪神大震災が起こったとき、無力なもんだと感じたんですよ。役者には一体何ができるんだろうと」。そして行き着いたのが、少しの夢を与える存在だという考え。「役者とは人々を、つまり地球を豊かにするものだという思いから名付けました」。
5月には、その第6弾となる舞台「カルテ」が控えている。テーマは“命”。近未来の医療の世界を、ミュージカルや笑いの要素を盛り込みながら描いていく。およそエンターテインメントが似つかわしくない設定を選ぶあたり、舞台に対して常に積極的であり続ける彼の姿勢を感じる。
「医者は命の取引をしている職業なんですよね。そんな登場人物を通して、生きることの難しさとか命の尊さを考えてみたい。『地球ゴージャス』の芝居には“いかにして生きるか”というテーマが、必ず根底にあるんです」
さらに、「一生懸命生きているやつほど、しんどいはず」と言葉を重ねる。 |
 |
「苦しみ、ドタバタ、悩み…。でも、懸命に生きてるやつって、外からはすごくすてきに見えるんですよね。苦しんでいることは、そいつにとっても決してマイナスではないし。うちの芝居の登場人物は、そうありたいと思っている」
一緒に芝居を作っている寺脇さんについても、性格は自分とは全然違うが、やっぱり“一生懸命生きてるやつ”と評する。「作品に対する見方とか、価値観とか、最終的に行き着くところなんかは同じ。俺がバーッと走っていって、その途中で落とした財布やら定期入れやらを、あいつが拾って持ってきてくれるっていう関係。で、ゴールしたときは、俺、全部そろってる」。プラスに作用し合いながら、同じベクトルに向かって駆ける2人。そこから、次はどんな形の“ゴール”が生まれるのだろうか。
話しながらテーブルにあったシティをめくり、芝居の記事に見入る。そんな岸谷さんにとって芝居とは?
「命ある限り、ずっと一緒にくっついてくるもの。俺も芝居を捨てないし、芝居も決して俺を捨てないんでしょうね」 |