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本の目利き編

 日々数多くの本に触れている書店員さんと、「ビブリオバトル」実行委員会メンバーに、今年のイチオシ本を3冊ピックアップしてもらいました。「本当に面白い本」を知る3人が厳選した珠玉の数々、あなたもぜひ手に取ってみて。

紀伊國屋書店札幌本店/実用書コーナー担当  富田迪子さん
問い合わせ/紀伊國屋書店 札幌本店(中央区北5西5 SAPPORO55ビル1、2階 TEL231・2131)


「SAPPORO山ガール すぐに行きたい近郊18山」
バビシェ・マウンテン・クラブ/北海道新聞社 1470円
札幌近郊の初心者向きの山18カ所の詳しいガイドや登山の基本のほか、メイクやファッション、登山帰りに立ち寄りたいスポットなど、「山ガール」にうれしい情報満載の1冊。  
軽い登山が趣味なのですが、これは本当に分かりやすくて便利! 1人でも気軽にチャレンジできる札幌近郊の山が紹介されているほか、かわいいウエアやみんなが実際に持参するおやつ、登山帰りに立ち寄りたいお店のガイドなども載っていて楽しいです。彼女へのプレゼントとして購入する男性もいらっしゃいましたね。


「ジーノの家 イタリア10景」
内田洋子/文藝春秋 1650円
イタリア在住のジャーナリストである著者が、30年に及ぶイタリア生活の中で出会った人々を生き生きと描く。日本エッセイストクラブ賞&講談社エッセイ賞受賞作。  
バタバタしがちな毎日の中で、プライベートで読む本は自分と違う世界に浸れるものを選ぶことが多いです。これは、文章からイタリアの空気や風まで感じられるような1冊。作者が出会う人々が魅力的なのはもちろん、食べ物がとってもおいしそうに描かれているのも印象的です。


「未来ちゃん」
川島小鳥/ナナロク社2100円
写真家・川島小鳥が、佐渡島に住む女の子「未来ちゃん」を、1年間に渡って撮り続けた写真をまとめた写真集。祖父江慎によるこだわりの装丁も見逃せない。  
ちょっと昭和の匂いがする未来ちゃん。私は未来ちゃんの眉毛がとても好きです(笑)。未来ちゃんのむきだしの生命力に、見ているだけで元気がもらえます。震災のすぐ後に発売されたので、同じように感じた人も多かったようです。




ビブリオバトル札幌実行委員会メンバー  原元太さん


「刑務所図書館の人びと  ―ハーバードを出て司書になった男の日記」
アヴィ・スタインバーグ著、金原瑞人・野沢佳織訳/柏書房 2625円
ユダヤ教徒の家庭に育ち、ハーバード大を卒業した筆者は、偶然目にした求人広告をきっかけに刑務所内の図書室で働くことに。そこに集う囚人との出会いや交流をつづるノンフィクション。  
囚人同士が本にメッセージやラブレターを挟み、ひそかに交流するシーンなど、「図書館っていいな」と実感できる一冊。一見堅そうな感じがしますが、「ひょろい」主人公が囚人にビクビクしながら注意するシーンなど、笑えるところもたくさんあり、親しみやすい内容です。


「困ってるひと」
大野更紗/ポプラ社 1470円
ビルマ難民について研究する大学院生女子の著者は、ある日突然原因不明の難病を発症する。襲いかかる数々の困難に立ち向かうさまを、知性とユーモアたっぷりに描いたエッセイ。  
売れている本はあまり紹介したくないのですが(笑)、これは1人でも多くの人に読んでもらいたい。難病でつらい思いをしながらも、病気や福祉制度について独自の視点で語る筆者。その頭の回転の早さやへこたれない強さなど、人間的な魅力が伝わってきます。


「薔薇だって書けるよ 売野機子作品集」
売野機子/白泉社 750円
ライターの八朔は愛らしいが風変わりな少女にひとめぼれのすえ結婚するが、次第に彼女の「ズレ」に疲れを感じ始める。表題作を含めた7作を収録。  
一見して新しい感じの絵柄ではなく、登場人物が感情を爆発させることも少ないので、読む人によっては「?」と思うかもしれませんが、読み返すごとに感じるものがある作品集です。静かな雰囲気のコマの向こう側にある「ヒリヒリするような感情」に引かれます。




MARUZEN&ジュンク堂書店/芸術書担当  柏木 花恵さん
問い合わせ/MARUZEN&ジュンク堂書店 (中央区南1西1 丸井今井南館 TEL223・1911)


もう、家に帰ろう 2
田辺あゆみ、写真=藤代冥砂/ロッキング・オン 2730円
写真家・藤代冥砂が、妻でモデルの田辺あゆみとの暮らしを写真でつづった「もう、家に帰ろう」待望の続編。妻の妊娠から出産、第一子の成長の様子が収められている。  
写真から、撮影している藤代さんの家族への愛情が伝わってきます。「お父さんが撮っているからこそ見られる表情なんだろうな」と感じる温かな写真ばかり。奥さんの田辺あゆみさんの、透き通るような存在感もとても好きです。半年ほど前に発売された本ですが、いまだに売れ行きも好調。


「猫のあいさつ」(写真上)
浅生ハルミン/青幻舎 1050円
「クリスマスの足音」(同・下)
もうひとつの研究所/青幻舎 1260円
てのひらに納まるサイズの本をパラパラとめくると、描かれた絵がまるでアニメーションのように動き出す…。子どもはもちろん、大人も楽しめる「パラパラマンガ」。  
「猫のあいさつ」は、かわいいだけでなく、ちょっとシュールで笑えるところもあるのが魅力。猫が好きなので初めて見たときは「猫がこっちに来たー!」とうれしかったです(笑)。箱もキレイな「クリスマスの足音」は鈴が付いていて、ページを繰るたびに鈴の音が聞こえます。クリスマスギフトにもおすすめ。


「儚い羊たちの祝宴」
米澤穂信/新潮文庫 500円
読書サークル「バベルの会」に集う令嬢たち。彼女らを巡る、邪悪で凄惨(せいさん)な5つの事件を描く短編集。最後の一行で、世界が反転するような真実が明らかになる、甘美な暗黒ミステリー。  
物語の至るところに伏線が散りばめられていて、最後の一文で見事にそれまでの予想がひっくり返されてしまいます。そのやり方がすごく上手! 普段、ミステリーはその後の展開を予測しながら読みますが、これに関してはそうせず、何も考えずに物語を楽しむのがおすすめです。



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