PROFILE/昭和42年生まれ、札幌市出身。商業高校卒業後、電気系卸会社に就職。22 歳で結婚・出産。24 歳のときに派遣社員としてメーカーに再就職。その後、契約社員を経て実家の不動産仲介業に転職。この間宅建主任者とファイナンシャルプランナーの資格取得。住宅メーカーの営業職などを経て平成14 年にアクシエを設立。
http://www.axie.co.jp
「子供の頃、『歌手になるならアイドルじゃなくシンガーソングライター』って思っていました。その頃から息の長い仕事がしたいと思っていたんです。経営者は生涯現役で、歳を取ってもできる。良いものを見つけたなって」。
そう笑うのは、「アクシエ」の代表取締役・小林三希子さん。同社は不動産のコンサルティングや運用企画、仲介などを手掛け、中でも中古住宅を最大限に生かして生まれ変わらせる「リノベーション住宅」で各界から高い評価を得ています。資格や専門知識が必要となる不動産業界で起業し、経営者として実績を重ねますが、そのスタートは女性としてごく普通のものでした。
「商業高校を卒業して、事務員として入った会社は、電気系の“働くおじさんの会社”でしたね」。そして22歳で結婚、出産を経験し、派遣社員として社会復帰。そこで契約社員になるなどステップアップしますが、本人には不満が高まります。「責任のある仕事がしたくて、営業がしてみたかった。でも『ここまでしかしちゃダメ』ということばかりだったんですね。それで考えたとき、国家資格があるわけでもないし、アシスタントしかできない。これはだめだって思ったんです」。
「できない」って言っちゃうとできない人になる
そこでこの時期、父親が営む不動産仲介業に転職。子連れで通勤しながら一念発起しました。「デスクワークしかしたことのない自分ができるのは、宅地建物取引主任者かなって」と、国家資格を取得します。
また社員数が少ないこの環境で、小林さんのやる気が開花しました。「(父は)どんどん仕事をしろと。中間管理職はいないし、日本の“出るくいは打たれる”という習慣がなかったんです」。
さらに仲介業で顧客と接する中、「建物の不具合に応える知識がなかった」ことに気付き、住宅メーカーに転職します。そこでは、家を建てることが顧客のライフプランに直結することを知りました。「また足りないものに気付いたんです」と、次なる挑戦としてファイナンシャルプランナーの資格を取得します。そしてその後「アクシエ」を起業。
「今やっているリノベーション住宅は、これまでしてきたことの集大成」と語る通り、長く住んだ家を家族の関係にまで踏み込みながら再生することは、まさに小林さんの軌跡をつなぎ合わせたものと言えるでしょう。「一つひとつ、お客様の夢をかなえてあげる。違うドラマのシナリオ作りをしているわけですから、ものすごーく面白いんですよ」。そう語るとき、心底うれしそうな笑顔がのぞきます。
今でこそ不動産のプロとして10年以上経ちますが、事務職から国家資格を取得し、不動産業に転身した当初、不安はなかったのでしょうか。
「最初は怖かったですよ。資格を持つと『私、担当じゃないんで』が言えなくなる。今思えば『新米なんで』って言えば良かったんですけど。でもお客様の期待に応えようとして、その連続です。『できない』って言っちゃうと、そのままできない人になると思って」。
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