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今、伝えたいこと〜先輩からのメッセージ〜

第7回

アクシエ
代表取締役 小林三希子さん 〜vol.7 Mikiko Kobayashi〜
 小林三希子さん
 

思い切り働ける間に「この人じゃないと」という環境を作って

PROFILE/昭和42年生まれ、札幌市出身。商業高校卒業後、電気系卸会社に就職。22 歳で結婚・出産。24 歳のときに派遣社員としてメーカーに再就職。その後、契約社員を経て実家の不動産仲介業に転職。この間宅建主任者とファイナンシャルプランナーの資格取得。住宅メーカーの営業職などを経て平成14 年にアクシエを設立。
http://www.axie.co.jp

  「子供の頃、『歌手になるならアイドルじゃなくシンガーソングライター』って思っていました。その頃から息の長い仕事がしたいと思っていたんです。経営者は生涯現役で、歳を取ってもできる。良いものを見つけたなって」。
 そう笑うのは、「アクシエ」の代表取締役・小林三希子さん。同社は不動産のコンサルティングや運用企画、仲介などを手掛け、中でも中古住宅を最大限に生かして生まれ変わらせる「リノベーション住宅」で各界から高い評価を得ています。資格や専門知識が必要となる不動産業界で起業し、経営者として実績を重ねますが、そのスタートは女性としてごく普通のものでした。
 「商業高校を卒業して、事務員として入った会社は、電気系の“働くおじさんの会社”でしたね」。そして22歳で結婚、出産を経験し、派遣社員として社会復帰。そこで契約社員になるなどステップアップしますが、本人には不満が高まります。「責任のある仕事がしたくて、営業がしてみたかった。でも『ここまでしかしちゃダメ』ということばかりだったんですね。それで考えたとき、国家資格があるわけでもないし、アシスタントしかできない。これはだめだって思ったんです」。

「できない」って言っちゃうとできない人になる
 そこでこの時期、父親が営む不動産仲介業に転職。子連れで通勤しながら一念発起しました。「デスクワークしかしたことのない自分ができるのは、宅地建物取引主任者かなって」と、国家資格を取得します。
 また社員数が少ないこの環境で、小林さんのやる気が開花しました。「(父は)どんどん仕事をしろと。中間管理職はいないし、日本の“出るくいは打たれる”という習慣がなかったんです」。
 さらに仲介業で顧客と接する中、「建物の不具合に応える知識がなかった」ことに気付き、住宅メーカーに転職します。そこでは、家を建てることが顧客のライフプランに直結することを知りました。「また足りないものに気付いたんです」と、次なる挑戦としてファイナンシャルプランナーの資格を取得します。そしてその後「アクシエ」を起業。
 「今やっているリノベーション住宅は、これまでしてきたことの集大成」と語る通り、長く住んだ家を家族の関係にまで踏み込みながら再生することは、まさに小林さんの軌跡をつなぎ合わせたものと言えるでしょう。「一つひとつ、お客様の夢をかなえてあげる。違うドラマのシナリオ作りをしているわけですから、ものすごーく面白いんですよ」。そう語るとき、心底うれしそうな笑顔がのぞきます。
 今でこそ不動産のプロとして10年以上経ちますが、事務職から国家資格を取得し、不動産業に転身した当初、不安はなかったのでしょうか。
 「最初は怖かったですよ。資格を持つと『私、担当じゃないんで』が言えなくなる。今思えば『新米なんで』って言えば良かったんですけど。でもお客様の期待に応えようとして、その連続です。『できない』って言っちゃうと、そのままできない人になると思って」。

上司としては、“言い訳探し”をしています

アクシエが手掛けた物件内の、真新しい機器を備えたキッチンにて
アクシエが手掛けた物件内の、真新しい機器を備えたキッチンにて

 自分に対して厳しさを持ち、スキルを磨いてきた小林さんが部下に求めることはなんでしょう。
 「言い訳をするより行動せよと言いたいですね。ちょっと前まで、言い訳されると納得していたんですけど(笑)。今は上司として“言い訳探し”をしています。今まではどこかで良い人と思われたい気持ちがあったんですね。今は人でなしと言われてもいいと」。
 進んで嫌われ者になってでも部下の成長を望む姿は“厳しい”とも言えるでしょう。でも小林さんの目線は、男女・年齢にとらわれず平等。それは「子供にも、『成績がここまで上がらないと携帯電話を買ってあげない』って」とプライベートでも変わらないそう。そんな考えは現代の経営者に最も必要なことなのかもしれません。
 就職から結婚、出産、転職、起業と、女性の人生で起こりうる多くの要素を経験した小林さん。読者に対しては、「思いきり働ける間に“この人じゃないと”という環境を作っておくこと。資格も一つの手段だけど、例え出産後でも『あなたの力が必要』と言われる力をつくり出して」と語ります。そしてそのためには、「今はきっと上司とか部下とか立場がありますよね。でも立場は、例えば仕事を辞めれば変わるもの。それにこだわらず、常にクライアントに対してゴマすりではなく、何を望んでいるかをしっかりつかんでおく必要があるんです」。
 小林さんが話すことは、難しいようで実はシンプル。自分に足りないものに気付く謙虚さ、物事をフラットに見つめる目線が、このきゃしゃな女性を成功者に育て上げたのでしょう。

 
 
 
  10年前の私

 9年前、自分の夢を明確にするためのセミナーに参加したときのものです。ここでできた仲間の存在は大きいですね。人生のテーマは一生かけて自分を磨き続けることだと思うし、それができる仲間作りも重要です。こういう人脈は、お金と違う無形の財産だから、子供にも引き継ぎたいと思うんです。以前は「友達とは商売したくない」と思っていましたが、今は「公私混同も大事だよね」ってよく話しています。

 
 
[情報掲載日:2008.10/22]
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