今、伝えたいこと〜先輩からのメッセージ〜

第1回

叶多プランニング 代表取締役
平塚智恵美さん 〜vol.1 Chiemi Hiratsuka〜
 
 

「素敵!」という感動と、悔しいという気持ちが前へと突き動かす

PROFILE/1952年生まれ。札幌市出身。大学卒業後、広告代理店に6年勤務。その後、フリーライター、テキスタイル作家、フリーペーパー編集者を経て、2005年「叶多プランニング」を設立。趣味は「楽しんで生きること」。座右の銘は「踏み出せば、そこは明日」。
http://www.kanata-planning.com/

 「私って、猪突(ちょとつ)猛進型なの」と笑う平塚智恵美さん。編集企画、広告制作、イベント事業などを展開する「叶多(かなた)プランニング」の代表を務めます。
 同社が誕生したのは、2005年。デザインを通して北海道の環境を考えようという「エコデザインプロジェクト」をはじめ、世間が注目する企画を考え、先頭に立って実行してきました。

一生懸命やっていれば、状況は好転する
  前へ進む強いパワーと、周囲を包み込む懐の深さ。そして、好奇心旺盛で少女のような一面もある平塚さん。彼女の社会人生活は、大学卒業後に入社した広告代理店からスタートしました。「当時は女性社員が全体の2割ほど。まだまだ男社会で、女性はすぐに結婚して辞めると思われていた。でも、私は入社時に社長と『5年は辞めない』と約束していたの(笑)」。  もちろん、仕事に対する情熱は男性に負けていませんでした。「自分の給料は自分で稼ぐ。それが社のルールみたいなものだったから、広告を作らせてほしいと飛び込みで営業して、全部自分でやった」と振り返ります。
 製パン会社のパンフレットや家具メーカーのテレビCMなど、大きな仕事を次々と手掛けましたが、時には失敗したことも。「うまくいかないことがあると、悔しいから絶対に解決しようとするの。周りを恨んでいる暇があったら、解決するために努力するほうがいい。それに、一生懸命やっていたら、不思議といい出会いがあったり、状況が好転したりするもの。失敗も含め、あの頃やったことは勉強になった。最近の若い子の中にはあっさりと逃げ出す人もいるけれど、あきらめないでほしいな」。
 在職中の25歳の時に結婚。仕事も充実していましたが、28歳で退職。大学のデザイン学科に編入します。「テキスタイルの勉強がしたくなって。でも、妊娠が分かって半年で退学。息子が生まれてからは、フリーでラジオの原稿を書いたりしていたけど、“手仕事”に目覚めて織り機を買って機織りを始めたの」。
 ここから平塚さんのアーティスト活動が始まります。作品を販売したりしますが、札幌でアーティストとして生活するのは難しいと感じることが多かったそう。
 そんな平塚さんに次の転機が訪れたのは1995年。前に勤めていた広告代理店に再就職。40〜60代の女性がターゲットのフリーペーパーの編集に携わることに。
 残念ながらそのフリーペーパーは数年後に廃刊。しかし、「取材などを通して、女性の力のすごさを実感した。根性、覚悟、実行力がある。中でも主婦は世間知らずみたいにいわれるけど、テレビやフリーペーパーなどを通じて、誰よりも世の中と密着しているし、ものの考え方もフラット。例えば食器ひとつにしても、家族の人数や部屋の雰囲気、作る料理などをトータルで考えて購入する。時には環境問題や、自分の子供、孫といった次世代のことも考えながらね。生活全般をプロデュースできる力があるの。なんて自由なんだと思った」と話します。
 そして、この頃の経験を生かし、「次世代のことも考えて行動ができる40〜60代の人たちへ向けて何かを発信したい」と、「叶多プランニング」を立ち上げます。

あきらめないことが、次へつながっていく

写真
事務所内にある「kanata art shop」。エコデザイングッズや平塚さんにゆかりのある作家の作品が並びます

 同社で、広告物の制作などのほかに力を入れているのが、アーティスト支援や公共施設のアート事業。「自分がテキスタイルをやっていて感じた不自由な環境を何とかしたかった。だから、アーティストと企業をつないで作品を商品化したり、一般の人が芸術に触れる機会を設けたり、さらには道内の若手作家を育てようって決めたの」。平塚さんと関わりのあるアーティストは、陶芸、木工、彫金などあらゆるジャンルの人たち。事務所の一角では、彼らの作品も販売しています。
 エコデザインプロジェクトの一環であるエコデザイン展の実施、道内在住アーティストたちによるコラボレーション作品の制作など、平塚さんの「やりたい仕事」は山ほど。平塚さんを突き動かすものは何なのでしょうか。「芸術作品を見たり、おいしい料理を食べて、『素敵だな』って感じることがあるでしょ?
 感動したら、次に『私もこんなことやリたい』という悔しい思いにかられるの。それが原動力かな」。  積み上げてきた経験を生かし、新しいことに挑戦していく平塚さん。「憎しみや怒りからは何も生まれないけど、あきらめなければパワーやアイデアも出てくる。今、壁にぶつかっている人もそう思って立ち止まらずに進んでほしい」。
 平塚さんはこれからも前を見つめ、「多くのことを叶え」、私たちに刺激を与え続けてくれることでしょう。

 
 
 
  10年前の私

「この写真はちょうど、フリーペーパーの編集をやっていた頃。テキスタイルの作家活動と仕事、子育てに髪を振り乱して(?)いた頃かな。多くの困難もあったけれど、今も10年前も変わらないのは、過去より今が1番好きということ。それはくよくよ振り返らないタイプなのと、多くの友人たちに恵まれ、助けてもらっているからだと思う。今後の10年は、みんなに楽しく恩返しかな(笑)」

 
 
[情報掲載日:2008.4/16]
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