海外通信
オークランド 〜ニュージーランド〜 2006.1/11 更新
非核宣言国家のナチュラルな電力供給
(シティ特派員/畑中美紀さん) 海外通信バックナンバー

 ニュージーランドには、原子力発電所が一カ所も存在しない。それはこの国が「非核宣言国家」として核を徹底的に排除しているからである。

 この国の電力はというと、「水力」が全電源の80%を占めており、残りの20%を「風力」「地熱」「火力」で補っている。自然の力に頼った電力は環境には優しいが、供給量を一定に保つことは不可能なので、電気の消費量が増える冬などは基本料金が値上がり、必然的に国民の負担が増える。しかし、このような不便があってもなお、ニュージーランダーたちは原子力発電に頼ろうとはしない。“Nuclear Free”(非核)を守ることは、彼らにとって揺るぎのない決意であり、誇りなのだ。

 もちろん、日本のおよそ4分の3の国土に4百万人の人々が暮らすニュージーランドと、総人口1億2000万人の日本では、電気の需要量が違うのは明らかで、自然のエネルギーだけで事足りるとは到底思えない。とはいえ、日本は今まで、電力を浪費し過ぎていたことは事実だろう。最近では、「クールビズ」や建物のライトダウンが奨励されるなど、電力の浪費が見直されていることからも、それがわかる。

 つい先日、2003年に撮影された「衛星から見た真夜中の日本列島」という写真を見た。そこには、真夜中にもかかわらず、不気味に光り輝く日本列島が写し出されていた。一方、ニュージーランドは、大都市のここオークランドでさえ、夜になると、町全体が闇のように暗くなる。これは、街灯の数が少なく、家からもれる明かりがほとんどないためだ。最初のうちは、その暗さに驚いたものだが、実際には生活するのになんら支障はなく、今ではすっかり慣れてしまった。

 あの日本列島の写真を思い出すたび、日本も安全で環境に優しい電力を増やすことがきっとできるはず、と思わずにはいられない。

シティ特派員プロフィル
畑中美紀(はたなか・みき)。フリーで翻訳をするかたわら、ライターとして企業向け雑誌で著名人のインタビュー記事を担当。2003年から、ワーキングホリデーでニュージーランド・オークランドへ。日本人にはまだまだマイナーなこの国の、ライフスタイル、トレンド、エンターテインメント、アート、社会といったリアルな情報を発信している
大都市オークランド
大都市オークランドでさえ、夜道を照らす街灯はほとんどなく、ぼんやりと薄暗い
カラピロ湖
カラピロ湖は水力発電のための人造湖
コンセント コンセントには不用時に流れる待機電力をカットするスイッチがついている