新タイプの社歌いかが


新タイプの社歌いかが Jポップ風、気軽に歌える 社内に一体感/イメージも向上
(2008年 8月 1日 金曜日 産経新聞 東京朝刊 生活面)


 サラリーマンの終身雇用志向が強まる中で、新タイプの社歌制作を請け負うビジネスが登場した。社員参加で作詞や曲調選定を行えば、社内の一体感もグッと増すとか。従来の社歌ではなく、Jポップ風に仕上げることで、社員が日常的に楽しめるだけでなく、企業イメージの向上にもつながるという。(八並朋昌)
 「朝礼で全員が歌わなくても、社員のメディアプレーヤーに入れておき、自分を見失いかけた時なんかに『そうだよ、だからこの会社に入ったんじゃないか』って、元気を出すきっかけになるような社歌があってもいいのでは」

 アイデアガレージ(東京都文京区)の西尾竜一社長(44)は、社歌制作を事業として始めた理由を説明する。同社は昨秋、「働く人たちの気持ちを伝え、励ます歌」として「職うた」を発案。営業マン、看護師、派遣社員、キャバクラ嬢など約20職種の歌をウェブサイトで配信し、「共感した」といった反響が相次いでいる。この中で「職種だけでなく企業ごとの歌もできないか、という声が寄せられたんです」という。

 曲調はJポップ風にし、歌詞には「まだ見ぬ出会い」「あなたらしさを」「あきらめないで」といった若者受けするフレーズを多用する。「荘重なメロディーや歌詞ではなく今の時代に合わせて気軽に聴き、歌える社歌があってもいいのでは。カンパニーソングという方が似合うような…。会社と社員の事業理念共有につながり、就職活動の学生や取引先からもイメージアップになるはず」という。

 今年始めた社歌制作はすでに情報通信や飲食チェーンなど4社から受注し、2社と商談中。歌詞は発注企業が用意し、作曲して伴奏付きボーカルのCDにするエコノミーが30万円、発注企業を取材して作詞も行うスタンダードが50万円。作詞や曲調選びを研修として発注企業の社員が行う研修パックが80万円から。作曲家約30人、歌手10人ほどが登録しており、伴奏は作曲家がパソコンで合成する。

 労働政策・研修機構が3月に発表した調査で、20歳以上の9割近くが終身雇用を支持し、5割が望ましいキャリア形成を「一つの企業に長く勤めて築く」と回答。産業能率大学の今年の新入社員アンケートでも、独立志向が8・9%と初めて1割を切り、終身雇用志向が66・4%を占めた。

 「こうした企業への帰属意識を、カンパニーソングがより良い方向に導けるのではないか」と西尾さん。

 研修パックで社歌を制作したのが、情報誌のリクルート北関東マーケティング(前橋市)。7月5日、ほぼ全社員の115人が参加し、まず福井康人社長(47)が「この会社をどうしていきたいか、その思いを歌に込めてほしい」などと説明。続いて16班に分かれて歌のタイトルと歌詞を提案し合い、曲調も選んだ。みっちり7時間余りの作業で決まったのは、バラード調の「いつかの道標」と、アップテンポの「ホイッスル」の2曲。

 ♪カバンに希望を詰め込んで まだ見ぬ出会い探してる この街を元気にするために どんどん僕は変わってく…

 研修から3週間余りで完成した2曲のうち、「ホイッスル」の一節だ。

 リクルート北関東マーケティング人事グループ、塚本輝雄さん(36)は「会社のことを社員同士がこんなに熱心に話し合ったのは初めてで、部署を超えた価値観のすり合わせもできるという思わぬ副次効果があった」と話している。

                   ◇

 社歌制作の問い合わせはアイデアガレージ(電)03・5579・8462。