「タスポ」きょうから9都県で導入

「タスポ」きょうから9都県で導入 街のたばこ店“悲鳴”「廃業もやむなし」
(2008年 7月 1日 火曜日 産経新聞 東京朝刊 社会面)

 たばこ自動販売機の成人識別カード「taspo(タスポ)」が1日から、東京、千葉、埼玉、沖縄など9都県で導入され、運用地域が全国の都道府県に広がる。発行枚数は喫煙者数全体の2割程度とまだ少なく、普及が最大の課題で、併設する飲料水自販機の売り上げ減も懸念される。昔ながらの街のたばこ店からは「廃業もやむなし」との“悲鳴”が上がる中で、導入が始まった。
 タスポの発行枚数(6月24日現在)は、全国の喫煙者数の24・6%に当たる641万枚にとどまる。たばこ協会に住所や生年月日を登録、顔写真を提出するなど入手の手続きが面倒なことが、伸び悩みの一因とみられている。
 東京都北区のたばこ店の男性店主(83)は「売り上げの約7割は自販機が占めており、減収は覚悟している。正直きつい。最悪の場合、廃業も視野に入れなければ」と、先行きに不安を隠せない。
 全国たばこ販売協同組合連合会は30日、平成8年から実施してきた自販機の深夜販売停止措置の解除を明らかにしたが、販売増につながるかは不透明。「タスポ低調」のあおりで個人商店が苦戦する一方、コンビニでの販売は好調だ。
 日本フランチャイズチェーン協会によると、たばこの販売が伸びたため、5月のコンビニの既存店売上高は前年同月比で3・7%増と、3カ月ぶりに増加したという。同協会は「タスポを持っていない人が、コンビニで購入するケースが増えている」とみる。
 親子2代、半世紀にわたってたばこ店を営む東京都港区の坂井清さん(60)は、「スーパーやコンビニが生き残り、経営体力が弱い店が犠牲になるだけ。商売のうまみはないので、自分の代で店をたたむつもり」と話す。
 たばこの自販機と並んで置かれることが多い飲料水自販機の売り上げにも、影響は及びそうだ。
 東京都江東区で約50年たばこ店を営む河西隆雄さん(75)は「自販機の近くに灰皿を置き、ついでにジュースも買ってもらおうと営業努力をしてきたが、たばこ客が減ると飲料水の売り上げもどうなるか…」と嘆いた。