肉の生食にご注意を!

肉の生食にご注意を! きちんと加熱し食中毒予防
(2008年 6月 24日 火曜日 産経新聞 東京朝刊 生活面)

 夏場に多い食中毒。中でも最近目立つのは、少ない菌数でも発症するカンピロバクターや腸管出血性大腸菌(O157など)による食中毒で、肉の生食や加熱不足が主な原因となっている。カンピロバクターやO157は食品などが汚染されていれば、鮮度に関係なく食中毒を起こす可能性がある。最近は牛や鶏の生肉に抵抗のない人が増えたが、子供や高齢者など抵抗力が弱い人では重症化する危険もあるので注意が必要だ。(平沢裕子)
 食中毒とは、食中毒の原因となる細菌やウイルスが付着したり、有毒・有害な物質が含まれた食品を食べることによって、腹痛や下痢、嘔吐などの健康被害が起こること。原因の半数以上は細菌によるもので、腸炎ビブリオ、サルモネラ、カンピロバクター、O157などが代表的なものだ。
 かつて夏の食中毒といえば、魚介類などが原因の腸炎ビブリオが多かったが、冷凍技術の発達や平成13年の食品衛生法改正で生食用魚介類に対する規格・保存基準が制定されたことなどによって、以前に比べて発生は少なくなっている。
 一方、近年増えているのが、鶏肉や牛レバーの刺し身、ユッケなどの肉の生食、あるいはバーベキューでの肉の加熱不足などが原因で生じる、カンピロバクターやO157による食中毒だ。カンピロバクターは鶏や牛などの腸管、O157は牛の腸管などにいる細菌。厚生労働省によると、昨年1年間に報告のあった食中毒のうち、カンピロバクターは416件、腸管出血性大腸菌は25件で、細菌による食中毒の6割を占めていた。
 東京都健康安全研究センター食品微生物研究科の甲斐明美科長は「O157による食中毒が社会問題となったときにレバ刺しやユッケなど生肉を食べるのを控えた人も、今はそれほど気にしないで食べているのでは。肉の生食による食中毒のリスクは、当時も今も変わらないのですが…」と指摘する。

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 腸炎ビブリオは100万個以上の生きた菌を摂取しないと発症しないが、カンピロバクターやO157は100個程度の少量の菌でも発症する。鮮度がよければ食中毒にならないと考えている人は多いが、少量でも発症するこれらの菌は肉の鮮度と関係なく、汚染された食品や調理器具などから菌が体内に入れば食中毒を起こす可能性がある。健康な鶏や牛も保有しており、事前に汚染を見極めるのは難しい。
 カンピロバクターは鶏肉が関与しているケースが多い。15年に都内で発生したカンピロバクターによる食中毒の4分の3が鶏肉によるとみられ、そのほとんどが刺し身など生肉を食べたケースだった。鶏を生で食べる習慣はかつては一部地域のものだったが、グルメブームの影響で今は全国に広まっており、飲食店のメニューでみかけることも多い。
 甲斐科長は「刺し身だけでなく、さっと湯にくぐらせたものや、中まで火が通っていない空揚げも食中毒になる心配がある。とくに子供や高齢者など抵抗力の弱い人は重症化する可能性があるので、生食は避け、食べるときは十分に加熱すること」と注意を呼びかける。

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 日本では集団発生の報告がまだ1件しかないリステリア菌による食中毒は、米国では毎年2500人が重症となっている。海外で報告が多い食中毒は、数年遅れで日本で流行するといわれる。とくに妊婦が発症すると流産や早産の可能性もあり、妊娠中は感染源とされるナチュラルチーズやスモークサーモンは避けた方がいいだろう。
 食中毒の予防は、細菌を「つけない」「増やさない」「やっつける」の3原則が基本。甲斐科長は「食中毒の多くは、調理や食事のときにちょっとした注意をすることで防ぐことができる。肉を調理したら手や調理器具はしっかり洗う、食品は中心部までしっかり加熱する、焼き肉のときの肉の取りばしは専用のものを使うなど、基本的な予防法を守ってほしい」と話している。