聖火リレー ソウルでも抗議・妨害

聖火リレー ソウルでも抗議・妨害 中国人留学生と脱北者団体衝突
(2008年 4月 28日 月曜日 産経新聞 東京朝刊 国際面)

【ソウル=久保田るり子】北京五輪の聖火リレーは27日午後、韓国の首都ソウルで厳戒態勢のなかで行われた。ランナーは警察官に何重にも囲まれ、機動隊が防御するなかを走ったが、警察当局によると妨害を試みた脱北者や、物を投げるなどした中国人留学生ら計4人が拘束されたほか、数百人の中国人留学生らと中国政府の「人権弾圧」を非難する脱北者団体がもみ合い、負傷者が出た。詰めかけた中国人留学生らは1万人以上。ソウルの聖火コースは在韓中国人らが振る「五星紅旗」で赤く染まった。
 第一走者は韓国オリンピック委員会(KOC)の金正吉(キム・ジョンギル)委員長で、「オリンピック公園」からソウル市庁舎前までの約22キロを約80人が5時間をかけてリレーした。
 しかし、スタート直後に中国人留学生らが抗議デモを行っていた脱北者や支援者に詰めより、留学生側が石や金属製の棒、ペットボトルを投げるなどし、取材中の報道陣に負傷者が出た。また、聖火ランナーの前に男が飛び出そうとして拘束されたほか、道路脇にシンナーをまいて火を付けようとする妨害行動も起きた。
 ソウル市庁舎前では「自由チベット」と書かれたTシャツを着たりチベットや台湾の旗を振った米国人や韓国人らが中国人の若者数百人に取り囲まれ、阻止しようとした機動隊と衝突した。
 韓国政府はロンドン、パリなどの混乱を懸念し、屈強な機動隊員およそ8000人を動員した。中韓関係を重視する李明博(イ・ミョンバク)大統領が来月にも訪中を予定しているほか、北京五輪開会式へ出席するため、メンツをかけ万全の態勢を組んだ。
 韓国では数日前から、チベット騒乱に対し約100の市民団体が「聖火リレー阻止市民行動」を結成したほか、脱北者支援の約60の団体が中国政府の脱北者強制送還に抗議するなど不穏な空気もあったため、抗議行動は「中国在住の韓国人や脱北者の安全を脅かす」と自制を求める声が出るなど、波紋も広がっていた。