高級歯磨きに脚光

高級歯磨きに脚光 高齢化…ケア意識高まる
(2008年 4月 4日 金曜日 産経新聞 東京朝刊 生活面)

 歯槽膿漏(のうろう)や歯肉炎を予防する効果のある歯磨きが売れている。薬局の店頭では1本1000円を超す高機能・高価格の商品が人気だ。高齢化を背景に、歯の健康を気づかうケア意識の高まりもあって、自分の口内の症状や悩みに合った商品を選ぶ消費者が増えているようだ。(中曽根聖子)
 東京都文京区のドラッグストアチェーン「くすりの福太郎」本郷店。売り場には1本1000円を超える歯磨きがズラリと並び、若い女性から高齢者まで幅広い層に人気だという。
 売れ筋は大正製薬「デントウェルIIIVC」(希望小売価格1260円)。独自の特許技術で、水に分解しやすいビタミンCを安定配合。ビタミンCが、歯茎をつくるコラーゲン繊維の合成を促進することで、歯茎の健康を保ち、さらに出血や腫(は)れなど歯周病の症状を改善する効果が臨床試験で確認されたという。
 主にシニア世代をターゲットにしたライオンの「デントヘルス薬用ハミガキSP」(同1480円)は、歯周病の原因菌をもとから殺菌する成分や抗炎症成分を配合することで、歯茎のトラブルを予防。さらに、気になる口臭や虫歯、歯のくすみを1本でまとめてケアできるという。平成18年11月の発売直後の半年間に比べ、1・5倍の売れ行きだ。
 人気の理由について、ライオンオーラルケア事業部相原佳浩・専任ブランドマネジャーは「50、60代は加齢に伴い口腔(こうくう)内の衰えを自覚する分岐点。多少価格は高くても、歯の健康を守るためには毎日のケアに投資を惜しまない人が増えている」と分析する。
 血流を促進する成分を配合し、歯茎など歯を支える歯周組織を活性化させるサンスターの「G・U・Mデンタルクリーム」(同1418円)も、45歳以上の中高年にターゲットを絞った商品だ。
 グラクソ・スミスクラインの「シュミテクト」シリーズは、冷たいものや熱いものの刺激で歯がしみる知覚過敏を防ぐ商品として、幅広い年代の支持を集める。小林製薬の「生葉ひきしめ実感」(同1155円)はシラカバやシャクヤクエキスなど6種類の天然成分を配合して歯茎を引き締めるのが特徴。「キューッと引き締まった効果が実感できるので一度使ったら病みつきになる人が多い」(広報室)ため、19年度の売り上げは前年度比116%の21億円を記録した。
 日本歯磨(はみがき)工業会によると、2007年の練り歯磨きの出荷額は約677億円。ここ数年は数量ベースで横ばいか微減傾向にあるが、市場調査会社のインテージによると1本700円以上の高額歯磨き(美白を除く)の売り上げは、昨年までの5年間に市場全体の1割からほぼ2割へと急拡大した。
 歯周病の罹患(りかん)率は年々増加傾向にあり、軽い症状も含めると30歳以上のほぼ8割ともいわれる。大正製薬リビタ事業推進室の真沢和良室長は「全身の健康だけでなくアンチエイジングの観点からも、最近はオーラルケアへの関心が急速に高まっている」と指摘。その上で「これまでの虫歯や口臭の予防に加え、美白や歯周病予防など高機能化が進んだことで、歯磨きは一家に1本の時代から家族別々の商品を使うパーソナルユースの時代になった。自分の口内の状態をしっかり把握し、年齢や症状に合った商品を試してみては」と話している。