女性向け住宅ローン花盛り 経済的自立、晩婚化後押し
働く女性を対象とした女性向け住宅ローンの人気が高まっている。女性の経済的自立が進み、住宅購入熱の高まりを受けて、金融機関も新たな顧客層として注目。負担に敏感な女性を取り込もうと、金利優遇や各種手数料の割引などで工夫を凝らしている。(納富優香)
≪大幅に条件緩和≫
りそな銀行が昨年11月末に始めた女性専用住宅ローン「凛(りん) lin」。キャンペーン商品で需要を確かめるなど準備期間に異例の約2年をかけ、実際に住宅ローンを借りている独身女性を対象としたアンケートであぶり出された要望を、細かく組み込んだことが奏功。実質3カ月で100件以上の申し込みと、出足は好調だ。
借入時の金利を店頭金利より0・8〜1・2%優遇したほか、保証料や、100万円以上の繰り上げ返済の手数料を無料にした。女性には契約社員や派遣社員が多いことにも着目、前年度の年収が100万円以上、勤続1年から借りられるようにするなど、条件の大幅緩和も試みている。
一方で貸し倒れリスクを防ぐため、頭金ゼロをうたう物件の多い中、あえて貸付額は物件価格の8割を上限とした。「負担感が低くなるし、頭金をしっかり用意できる人は一般的に堅実で、返済もきちんとできる」と住宅ローンビジネス部の小笠原清美さん。
関心の高まりを受け、2月26日に都内で開かれたセミナーには20〜40代の女性約160人が集まる盛況ぶり。参加した都内に住む会社員(25)は「先々を考え早くから準備したいと思ってきたが、住宅ローンが身近に感じられるようになった」と語った。
≪出産後1年優遇≫
女性向け住宅ローンは、平成14年ごろから地方銀行を中心に相次いで発売された。スルガ銀行(静岡)や武蔵野銀行(埼玉)などが先行。保証料無料やリストラ保険をつけるなど工夫を凝らしたが、対象となる地域が限定されていたことに加え、都市部での店舗展開の弱さもあり、今ひとつ伸び悩んでいた。
大手銀では15年に中央三井信託銀行が女性専用の「エグゼリーナ」を発売、出産後1年間の金利を0・1%優遇するなどで話題を呼んだ。18年3月には三井住友銀行が「ウーマンプラス」を発売。30平方メートル・1DK以上と単身向け物件にも対応可能としたほか、中古住宅とリフォーム資金の同時借り入れプランを組み込むなど女性の需要に対応し、昨年末までに約6800件と順調に取り扱いをのばしている。
≪駆け込み需要刺激≫
女性向けローンの広がりの背景には、女性の経済的自立と晩婚化など、ライフスタイルの変化といった要因がある。さらに、バブル崩壊で都心地価が下落する一方、資金回収のしやすい単身向け物件の供給が増えたことで、収入の不安定な女性も“手の届く”物件が増えてきた。りそな銀では、平成10年に9%程度だった住宅ローン契約者に占める女性の割合が、18年は約15%に増加した。
足元では、昨年来の日銀の2度の利上げで住宅ローン金利の引き上げが予想されることや、都心部のマンション価格の上昇傾向もあり、駆け込み需要を刺激しているようだ。
ただ、同じように「女性向け」と銘打っても、中身にかなりの差がある。女性向けローン借り入れを検討している都内在住の会社員女性(41)は、「収入が減ったときなど、どこまで相談できるか正直不安もある」と悩む。ローンは借りられることより返せることが重要で、それぞれのライフスタイルに沿った慎重な検討が必要だ。
