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2005.9/28 更新
森優子の楽しむ旅行術バックナンバー
スパイ報告・旅レシピ(2) ピーマンの肉詰めシチュー(ルーマニア) 
ルーマニアの家庭料理 ピーマンの肉詰めシチュー

今回は、ルーマニアを旅行中にスパイした家庭料理のレシピをご紹介。

とはいえほとんどの人にとって「ルーマニアってどこ? どんな国?」という感じではないかと思われるので、まずはざっと代表的要素の羅列をば。

ルーマニアとは↓

  • ウクライナ、ブルガリア、ハンガリー、黒海などに囲まれた、いわゆる中欧の国のひとつ。
  • 体操選手・白い妖精、コマネチの出身地。
  • ドラキュラ伯爵のモデルとなった「ブラド串刺し公」のふるさと。
  • 故・チャウシェスク大統領の独裁政治が長く続いたが89年東欧革命により終結(ドラ息子はかつて首都ブカレストの目抜き通りを通行止めにしてスポーツカーを走らせて遊んだという)。
  • トランシルバニア山脈から北に点在する農村の人々は中世ヨーロッパ時代からかわらぬ生活スタイルで暮らしている。ふだんから民族衣装を着用(古い童話から抜け出たような老若男女で混雑したバス車中はオモシロ不思議)。歌・踊り・祭り大好き。

*そんなルーマニアを旅行中、列車で検札にまわってきたのが車掌のジェルさん。
「やや、日本人? 日本人ってよーわからんけど、うちへ泊まりに来いよ〜」
「ええんかいな」
「ええねん、ええねん」
「てゆーか、おたく仕事中やろ」
「ええねん。みなの衆、私は日本人を家に招くぞ!」
「おおおおお!(乗客たち)」
こんなノリでついていった彼の家は、クルージナポカという小都市の団地の三階。2DKで四人暮らし。

というわけでここで紹介するのは、「とつぜんだからごちそうはできないよ」と奥さんのマリアナがブツブツ言いながら作ってくれた、ふつうの家庭料理でございます。はっきりいって超簡単。

ピーマンの肉詰めシチュー(アルデイ・ウンプルツィ)の作り方
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おもな材料
ピーマン 一人につき3〜4個ぐらい
豚挽肉 一人につき100グラムぐらい
適当でいいが、肉400グラムに対し1カップぐらい
タマネギ 1個みじん切り
ニンニク お好きなぶんだけみじん切り
野菜スープ用の野菜いろいろ
欠かせないのは唯一トマト(生トマトよりも、水煮缶や野菜ジュースのほうがむしろおいしい)。セロリ、キャベツ、ジャガイモ、マッシュルームやしめじ、ニンジンなどがあればなおよし。

トマトベースの野菜スープを作る。

大きめの鍋に水を入れ、とにかくある野菜を適当にほうり込んで煮る。トマトは必須。
セロリの風味が入っているほうがルーマニアっぽい。
コンソメかブイヨン1個投入。塩・コショウで調味。クレイジー・ソルトなどのハーブ・ソルトもおすすめ。

ピーマンを切る。

バケツ型になるように、ヘタの部分を切って種を抜く。

詰め物を作る。

ハンバーグのタネ作りとほぼ同じ。米はザルで洗ってから使う。
つなぎとして、マリアナは「昨日の残り」の固くなったパンを適当にほぐして入れていた。私はパン粉やタマゴなど、あるものを適当に使う。塩コショウで下味をしっかりつける。

ピーマンに肉を詰める

の詰め物をピーマンにぎっちり詰める。米がスープを吸ってパンパンにふくれあがるので、いいかげんな詰め方でも大丈夫。
マリアナは「ピーマンから中身が飛び出さないように」と、肉を詰めたピーマンのふちに小麦粉をはたいていたが、私はほとんどの場合その行程をサボる(まあ問題ない)。

野菜スープに肉詰めピーマンを投入。

野菜スープの鍋にの肉詰めピーマンを入れてフタをして煮る。15分も煮れば米までちゃんと火が通る。できあがり。

ただの肉詰めも米が入ればルーマニア風

「ただのピーマンの肉詰めじゃん」と言われてしかるべし単純な料理ですが、ありそうでなかった味わいをもたらしてくれるのが不思議なところ。ポイントはどうやら米にありそうです。野菜スープをたっぷりふくんでふくらんだ米がソフトな食感をもたらし、野菜のエキスと挽き肉のアブラのうまみがじゅわ〜っと口の中に広がるんですね。ルーマニアの名物料理にサルマーレというロールキャベツがあるのですが、これは豚挽き肉をキャベツの漬物で巻いたもの(ブドウの葉で巻くバージョンもあり)。これもやはり具に米が入るのが特徴で、「具として米が活躍する」点がトルコ・ギリシャ・イタリアなどと共通しております。

アルディ・ウンプルツィはフランスパン・白ごはん・ビール・ワインいずれにもマッチ。子供にもウケるので、我が家では肉じゃがと並ぶ頻度で食卓に上っております。

安価なのにメインにもなる。作りおきもできる。秋冬のパーティーにもぴったり。

初めて食べる人には「へえ〜っ、ルーマニア料理!」「米が入ってるんだー」と珍しがられる上、ほとんどの人が本場のを食べたことがないおかげで上手・ヘタも問われない。おすすめですわよ。

蛇足コーナー おまけエピソード

生の挽き肉をマリアナがこねているときの話。

肉に興味を持った娘のミラベラが、ボウルに手を突っ込まんばかりの勢いでテーブルによじ登り、「カルネ(肉)! カルネ!」と騒ぎました。

さてマリアナはどうなだめるのか、興味をもって眺めていた私。ふつうならここで「ダメよ、まだ生なのよ、食べられないからね」とでもなだめるのであろう。

ところがマリアナのとった行動は違った。生の挽き肉をむんずと指に取ってミラベラの鼻先につきつけ叫んだ、このように↓。
「そうさ肉だよ。さあ、お食べ! さあさあ!」
くんくんとにおいをかいで「うえっ」と尻込みし、かたわらで静かに遊び始めたミラベラ。
「ダメよ」と諭すのではなく、「食いたけりゃ食え、まずい思いをするのも腹痛を起こすのもおまえ自身だ」の姿勢。

実はこれが、のちに私の子育てのひとつの指針となったのであった。
蛇足ながら、ピーマンの肉詰めシチューは私にとっては「育児の指針」とワンセットの料理なの、という話でした。

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