●森優子プロフィール 森優子の楽しむ旅行術バックナンバー
2004. 9.29up
なくした!盗られた!どうすりゃいい?(2)パスポート
●パスポートが命に次に大切な理由
「旅行が続けられなくなるから」です。
 パスポートは自分が何者であるかを証明できる、国際的信用をもつ唯一の身分証明書。基本的にパスポートのない人は外国に滞在することも、その国から出ることも、日本に入国することもできない。たとえ命がけで日本に泳いでたどりついたとしても入国が認められないわけです。
●もちろん現地で再発給してもらえるんだけど……
 パスポートを紛失しても、最寄の在外日本大使館・領事館で再発給してもらうことはできます。
 ただし書類やら写真やらを準備するにはなにかと手間と時間を要するし、窓口に申請したからといって即再発給してもらえるわけでもなく意外と時間がかかります。
 混み具合や人手の数などによってまちまちですが、早くて3〜4日、通常1週間ぐらい、長いと10日以上要することもあるようです。ふつうなら、これだけで旅行がおじゃんになってしまいますよね。
●パスポートのためだけにお金がどかどか飛んでいく〜!
 再発給費用は現地通貨で払うことになっていて、たとえば10年パスポートの場合アメリカだと109.9ドル、タイだと4332バーツ、ヨーロッパEU加盟国だと93.75ユーロという感じ。だいたい1万2000円ぐらいですね。クレジットカードは使用不可。
 おそろしいことに、出費はそれだけにとどまりません。
 原則的にパスポートを所持しない人間はその国内の旅行さえ許されないことになっています(べつに監禁・監視されるわけではないが)。つまり、再発給を待つ間身動きがとれないとなると旅のあらゆる予定をキャンセルせざるを得ず、おのずといろんな臨時費用がかさむことになるのです。
 たとえば次のような……
予約していた航空券がFIX(便の変更不可)なら新しいのを買い求めねばならない
紛失した都市に大使館・領事館がない場合、ある都市までたどりつく交通費(再発給は代行は不可。大ケガで入院していて動けないなど、よほどの理由がない限り本人が窓口に出向かねばならない。代行には委任状が必要なので事前に要問合わせ)
再発給を待つ間にその土地で滞在するホテル代
 もし申請窓口に誰かに同行してもらった場合は(あなたが日本国籍であることを立証してもらうために。詳細はあとで)帰国後にお礼の品物を送らなくちゃとか、食事ぐらいはごちそうしなくちゃとか、もろもろの出費もばかにならない。
 教訓。やっぱりパスポートは大切にしましょう。
 なお、海外旅行傷害保険の「携行品」に加入していればパスポートの盗難で被った費用(宿泊費や交通費や再発給費など)は補償されるので、必ず領収書を取っておきましょう(つくづく保険はありがたい……)。
●帰国のみ可能な「渡航書」ってのもあるぞ
 そんなに長く待ってられないよとか、あとは帰国するだけなのにとか、あさって帰国する予定なのに……というような場合はパスポートではなく渡航書を発給してもらいます。
 渡航書とは、その国から日本へ帰国することのみ有効な、いわば片道の交通手形。
 発給に要する時間はこれまたまちまちですが、早ければ2〜3時間で即発行、長くかかっても2〜3日。
 費用は現地通過で約2500円前後が目安です。
 日本に帰国することを立証するものとして、日本行きの航空券や、予約票を提出する必要があります。
●パスポートや渡航書を発給してもらうのに必要なもの
(1)盗難証明書
 警察でもらう(バックナンバー前回参照)または証人の一筆+サイン。
(2)写真二枚
 縦4.5センチ、横3.5センチ、いわゆる証明写真の条件を満たしたもの
(3)日本国籍を立証できる書類か証人
 詳細は後述。渡航書はこれがないと発給は無理。パスポート再発給にも必要だが、万が一これがなくても日本への問い合わせや照合によりその人物が日本国籍であることが立証されればOKとなる。
以上(1)〜(3)と、窓口にある書類「旅券紛失届」「申請書」に必要事項を記入していっしょに提出。
●「日本国籍を立証できる書類」ってなんだ?
 戸籍謄本や住民票の写しや免許証など、とされています。
 旅先で運転なんかしないわよ、運転するにしても持っていくのは国際免許証だわよ、と思うのが普通ですが、こういうときに役立つのですね。念のため持っていきましょう。
 以上のものがなくても、旅の同行者(家族やツアーの添乗員)が証人になって「この人は間違いなく日本人です」と言ってくれたら、それで立証されます。ただし申請窓口に一緒についてきてもらう必要あり。証人はパスポートを持参すること。
●写真は日本から準備していくべし!なぜならば……
 写真二枚は「無帽・6ヶ月以内に撮影したもの……」といったおなじみの条件を満たしたものであることが原則です。
 画素数の低いデジカメで撮った写真などは窓口の職員の判断で「不鮮明だからダメ」と言われることもあるので要注意。写りかたやサイズがあわなければ却下される可能性が高いので、けちらず、ちゃんとした証明写真を準備しましょう。
 なおこの写真、「ぜひ日本から持参を!」と声を大にして言いたい。理由は簡単、たかが二枚の写真のためにおそろしく苦労する可能性が高いからです。
見知らぬ町では写真館や証明写真撮影の店を探すのに四苦八苦する可能性が高い
探しあてたとしても、外国は営業時間が短かったり、昼寝や昼食の時間には閉めていたり、意外な日が祝祭日だったり、シャッターの前で唇を噛む可能性が日本よりも高い
地域によってはカメラや設備の不備・停電のせいでことがスムーズに運ばなかったり、フィルムが劣化していて「あーあ撮りなおし」とか、「明日とりに来て〜」と言われたり
 そもそもパスポートを紛失した時というのは精神的にも時間的にも、そしてたぶん金銭的にも余裕がないのものです。極端な話、家族など証人が同行してくれるなら写真二枚さえあればすぐ申請窓口へ向かえる。
 万が一の「かわいそうな自分」のストレスを少しでも軽減するために、ぜひ。
●パスポートがなくなった!とるべき行動一覧
パスポートが
なくなった!
ツアーの場合
個人旅行の場合
添乗員に報告
被害の証人として一筆書いてもらい(バックナンバー「盗難証明書」参照)指示
をあおぐ。
 
警察へ
盗難(紛失)証明書を発行してもらう。同行者がいる場合は被害の証人として一
筆書いてもらえばそれが有効。ただしこういうときはまずプロの指示をあおぐほ
うがいいので、保険会社や大使館に電話して提出必要書類を確認してからのほう
が失敗やロスが少ない。
日本大使館か領事館へ
パスポートか渡航書を発給してもらう手続きをする。窓口があいている時間はまちまちだがだいたい8:00〜16:00、ただし昼食時間は閉鎖(これもまちまち。12時とか12時半ぐらいから一時間)。「申請受付は15時まで」としているところも多い。
・あとは帰国するだけ
・とにかく急ぐ
・旅行を続けたい
・時間的に余裕がある
・日本国籍を立証する
 書類や証人がない
渡航書を発給
これを受け取ったあと、その国の入国管理事務所に行って入国したことを認めてもらう手続きをしなければならない。大使館や領事館のスタッフが方法や場所を教えてくれるので安心を。
帰国
パスポートを再発給
発給に時間がかかるのは、日本の外務省の照合・確認も必要なため。入国管理事務所での手続きなど、スタッフの指示をあおぐ。
帰国、または
  旅行を続ける
●なぜパスポートが盗まれるのか?
 残念ながら、日本人のパスポートは狙われています。すでにみなさんもご存知のとおり、日本人のパスポートをほしがっている人が世の中にたくさんいるからです。
多くの人が日本人のパスポートをほしがる理由↓
日本に入国するため
日本で働きたいが自国では日本に入るビザを取得することが難しい、などの理由から
あらゆる国に出入国できるから
国際的信用度が高く、たいていの国にすんなり入国できるから。
 ほしがっている人が直接日本人のパスポートを狙うことはまずなく、ブラックマーケットの売買ルートを通して入手するのが普通です。
 何人もの仲介者を通して売買されるため、たとえドロボーがつかまったとしても偽造業者や中心人物がなかなか発覚しないのが現状とか。
 なお、現在の日本のパスポートは変造を防ぐための工夫がずいぶん凝らされています。
 各都道府県のパスポート発給窓口で最新式の「機械読み取り対応パスポート」にとりかえてもらうことも可能。詳しくは外務省のホームページで。
●パスポートを売ったら人生終わり
 旅先で麻薬にはまり、持ち物や航空券を売って滞在費や麻薬代を作り、ついにパスポートまで売り飛ばしてしまう日本人旅行者が存在するようです。
 言うまでもありませんが、これは立派な犯罪です。犯罪うんぬんを差し引いたとしてもアンダーグラウンドに関われば身に危険が生じるのは目に見えていて、じっさい投獄されたり、命を落としたり、社会復帰できないところまで身を滅ぼした日本人が複数いるのは事実なのです。
 そんなことに関わるわけないじゃん、と思っていても旅先で日本人から「パスポートを売ってこづかい稼ぎしない? 大丈夫、みんなやってるよ」という軽いのりで誘われたら案外その気になってしまうかもしれません。
 そのような話を持ちかけてくるのはジャンキーか、闇社会が背後についてると相場は決まってる。関わっていいことは何ひとつないので、念のため。
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