●森優子プロフィール 森優子の楽しむ旅行術バックナンバー
2004. 9.1up
プリントアウトして使える記入式「おたすけカード」
●いざというとき、まずどこに連絡すればいいか
 路上でカバンをひったくられた。
 現金はおろかクレジットカードもパスポートも航空券もすべてが手元からなくなった。
 お先真っ暗。考えたくもない悪夢のような瞬間です。
 しかし呆然としているわけにもいきません。さて、そこで被害者はまず何をどうするべきなのでしょうか。
●警察よりもなによりも、まずとるべき行動は……
 警察への連絡よりもなによりも、まず被害を最小限に食い止める手続きを最優先すべきです。
(1)クレジットカード会社に電話してカード機能を止める
 基本中の基本。迅速な対処が不可欠。
 カードはいったん機能を止めたら再発行に時間がかかりますが(カード会社や種類、事故が発生した地域に窓口があるかないかなどで差がある。即日発行のこともあれば再審査のため1週間ぐらいかかることも)、旅行中だけ使用可能な仮カードを緊急発行してくれる場合もあり。
(2)保険会社に電話して指示をあおぐ
 24時間・年中無休・通話料無料・日本語の通じる連絡先が必ず保険会社にはあります。トラブッた状況下では、これがどれほどありがたいか。
 のちの保険金申請に必要なものや、その時とるべき行動、パスポートや航空券の再発行の方法などのアドバイスも受けられるはずなので、なにはともあれ電話するとよいでしょう。
クレジットカードの特典としてついているような保険だと、カード会社にコンタクトしても提携保険会社に電話がつながるまでに時間や手間を要することが多い。出発前にカード会社に提携保険会社の緊急連絡先を問い合わせておくこと。いずれにせよカード特典の保険は(ゴールドやプラチナやブラックカードでない限り)補償額が低かったり携行品保険がついていなかったり、要するに『死んだときにしか役に立たない』ようなことが多いので、はなっからアテにせず、あらためて旅行保険に入りなおすことをおすすめ。
(3)パスポートの再発行手続きに向かう
 パスポートがないと旅行が続けられません。日本大使館・領事館ともに、日本と現地のカレンダーの祝祭日両方とも休みになるのが普通なので、とにかく早く対処するのがベターです。再発行には数日かかりますが、それを待つ時間がない場合は帰国だけが可能な渡航書を発行してもらうのが一般的。
 なおパスポートの再発行に要する交通費・宿泊費・申請代なども『携行品』の保険に加入していればたいていは保険金がおりるので必ず領収書をとっておきましょう。
●警察はあとまわしでいい、その理由
 旅の用語集の『トラブル』のページには必ず
『警察を呼んで下さい』『ドロボーにやられました』『助けて下さい』
といったセリフが並んでいますが、個人的にはこれらが特に緊急時に役立つ言葉だとも、覚えるべき言葉だとも思いません。理由はふたつ。
(1)被害者の青ざめた顔でじゅうぶん状況は伝わるから
 たとえば路上でひったくりに遭った場合。日本語であろうがなんだろうが、周囲の人は「あっ、この子はひったくられたんだな」と察してくれるというもの。
 なお、そんな犯罪が日常茶飯事だったり、「さわらぬ神にたたりなし」という気質が濃厚な土地では泣けど叫べど無視されることも多いです。
 そもそもあまり周囲に期待しないこと。
(2)警察に連絡してもあまり意味がないから
 海外で日本人がドロボーにやられたとき、警察に連絡してもその場ではあまり意味がない、と考えておくほうがいいでしょう。
 あまりにも犯罪が多いため「またか」とあしらわれたり、すぐに来てくれないことが多いということもありますが、それより何より、警察に連絡したところで犯人がつかまって盗まれたものが戻ってくるような可能性は低く、また言葉の壁がたちはだかってうまく状況を伝えられないことが多いからです。
●警察にはあとでお世話になる
 けっして警察の存在が無駄だといっているわけではありません。日本人観光客にとっては、警察への連絡より先にすべきことが他にある、それが現実ってことです。
 いずれにせよ警察にはのちのち必ずお世話になります。保険金の申請や、パスポート・航空券・トラベラーズチェックなどの再発行に必要な『盗難証明書』を発行してもらわねばならないからです。盗難証明書の発行についての詳細は次回。
●電話番号は旅先でのライフライン
 とにかく旅行者にとっては、保険会社やカード会社・日本大使館などの電話番号がライフラインというわけです。
 これらとすぐ連絡が取れれば、おおむねのことは解決、あるいはマシな方向へ向かいます。少なくとも立ち往生の心配はなくなる。
 つまり旅先で必要な言葉は『警察を呼んで下さい』よりもむしろ『電話はどこですか』だと思うわけです
 テレフォンとかフォンと言えばたいていはOK、電話をかけるジェスチャーでも通じるでしょう。
 公衆電話がない場合は近くの店や民家に飛び込んで電話を借ります(気が動転していると忘れがちだけど、電話代を渡したり、あとで礼状を送るための住所を聞くとベター)。
 カード会社などへの連絡は早いに越したことありませんが、周囲に電話がみあたらないとか、電話がぼろくてつながりにくいというような場合も外国では大いにあり得るでしょう。そういうときはとりあえずあとのスケジュールをキャンセルしてホテルへ戻り、落ち着いて電話することをすすめます。
●これさえあれば安心の「おたすけカード」を作ろう
 というわけで私は、いざというときに役立つもろもろの電話番号や情報を一枚にまとめた『おたすけカード』を作ってでかけます。私の場合、海外旅行のさいに実行する安全対策は
ハラマキ式貴重品入れをハラに巻く
保険に加入する
おたすけカードを作る
 この三つだけ。
 これがその書式です。(ココをクリック!)」。プリントアウトしてすべてに記入し、次の(1)〜(3)をコピー機のステージにいっしょに乗せてガーッと4枚コピーをとるだけでOK。A4やB5に縮小すればコンパクトに。
(1)パスポート
 顔写真があるページ。
(2)航空券
 航空券は発行番号やら記号やら発着地コードなどが複雑なので書きうつすよりコピーが簡単。
(3)トラベラーズチェック
 ホルダーからはずし、トランプのように少しずつずらしてナンバー部分だけ見えるようにコピー機のステージに乗せる。でも数が膨大なら書き写すほうがむしろ簡単。
●緊急連絡先の調べ方
現地の日本大使館・領事館
 外務省の海外安全センターのホームページに国別の緊急連絡先(電話番号・住所・受付時間)あり。ガイドブックにも必ず記載されているけれど、移転が少なくないのでインターネットが確実。
クレジットカード
 クレジットカードの裏に記載されている番号ではなく、海外からの緊急連絡電話番号を調べておくべき。カード裏の番号に電話して、たとえば行き先がハワイなら「ハワイへ行くんですが」という風に告げれば教えてくれる。割引してもらえるハワイの店のリストやクーポン券がついた冊子を送ってくれることも。この場合郵送に時間がかかるので早めの連絡が吉。
保険会社
 加入した際にもらう約款(小冊子)に記載されている。東南アジアならシンガポール、ヨーロッパならパリやロンドンという風に、地域によって連絡先が異なることが多いけれど、たいていは24時間・年中無休・日本語OK・通話料無料の番号があるので安心。日本の代表番号も念のためメモっておくといい。
航空会社・トラベラーズチェック
 ホルダー(表紙)、ガイドブックなどに記載あり。日本語が通じる番号かどうかどうか不安なら事前に日本の窓口に問い合わせるとよい。
●おたすけカードはお守りカード 
 万が一、おたすけカードさえ紛失した時は日本人利用者の多いホテルや旅行会社に助けを求めましょう。日本大使館やカード会社の電話番号リストを持っていることが多いです。
 いずれにせよ、外国で自力で電話番号を調べるのははっきりいって骨が折れます。
 パニクってる状況下でも、一枚に必要な情報がまとまっているおたすけカードがあれば、あらゆることがスムーズにはこびます。
 それに、こういうものを準備すると不思議とトラブルに遭わないような。
 「これさえあれば最悪の事態にはならんわい」という自信や余裕がよい気運をもたらすのかもしれません。ぜひおためしを。
 
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