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2003.11.26 up

ドロボー対策決定版(6) ひったくり編・安全なカバンと歩き方

●一瞬で天国から地獄 ひったくりの恐怖
 悲しいことに、最近は日本でもひったくり被害が頻発するようになりました。今回は日本の路上でも必ず役に立つ話ですのでぜひお読みください。 
 ひったくりが恐ろしいのは、肩にかけていたカバンを一瞬にして目の前で持ち去られる点です。
 スリやおきびきは「いつの間に?」であるのに対し、ひったくりは「目の前で・乱暴に・不意打ちされる」。被害額の多い少ないにかかわらず、いつまでもその感触やシーンが脳裏に残るといった、大きな精神的ダメージが後をひくのです。
 しかし心配しなくても大丈夫、ひったくりを防ぐのはコツさえ覚えればさして難しいことではありません。
 「暴力的な強奪(有無を言わさずカモをボコボコにしてカバンを奪い去る)」が発生している中南米やアフリカなどの一部を除き、観光都市の路上で発生するひったくりのほとんどは、ちょっとした予備知識と工夫でほぼ間違いなく避けることができるはずです。
●ひったくり天国 イタリアの場合
 日本人の多くが被害にあっているイタリアでの典型例を分析してみましょう。
1.背後からバイクで、追い越しぎわに
 ひったくりの多くはバイクに乗った二人組による犯行。
 路上でカモに背後から近づき、追い越しぎわにパッとカバンを奪い去ります。
 バイクだけでなく乗用車、自転車や、ローラースケート、大胆にも自分の足で走り去るというケースもあります。
 ほとんどが「背後から近づいて」やられている。これ、重要なポイントです。
2.敵は計画的に逃げ道を考えている
 ヨーロッパの古い都市はかつて戦闘時に敵が攻め込みにくくするなどの理由で、細い路地が複雑に入り組んでいます。すなわち、地元の路地を知りつくした人間にとっては追われにくく逃走しやすいわけです。
停まっている車からカバンを奪って急発進、というパターンも
 エンジンをかけて停まっている車の横を通ったらいきなり急発進、カバンを奪われるというケースもあります。
ひったくり天国 イタリアの場合(上)ひったくり天国 イタリアの場合(下)
●カバンの持ち方 基本はもちろん「車道と反対側に」
 以上の特徴からもわかるように、基本は「車道側にカバンを持たない」のが原則です。
 肩にかける、手に持つ、いずれも車道とは反対側に持ちましょう。
 歩道と車道が分かれていない場合でも、乗り物が追い越せそうな余裕のある側には持たないようにする。
 私の場合、意図的に「ひったくりにくい箇所を選んで歩く」のがすでに癖になっています。たとえば歩道では車道から離れたところ(建物に近いほう)を歩き、カバンや荷物は建物側に持ちます。「建物にぴったり沿って歩く」という感じ。
カバンの持ち方考 基本はもちろん「車道と反対側に」
●意外なツボ! 車の流れと対抗するように歩けば危険性はグッと下がる
 ↓イラストをご覧下さい。
意外なツボ! 車の流れと対抗するように歩けば危険性はグッと下がる
 そう、ほとんどのひったくりが「背後からせまってくる」のだから、背後から追い越されないですむ方向(車と対抗するように)に歩くことを意識すればいいのです。
 たとえばホテルからショッピングセンターに向かって大通りを歩くとき、普通ならホテルを出てすぐの歩道や、「昨日歩いたのと反対側の歩道を歩こう」なんて考えるのが自然ですが、この「どっちを歩こうかな〜」の判断の基準を「車の流れに対抗するほう」にもってくるわけです。
 行きと帰りではおのずと反対サイドの歩道を歩くことになるわけで、不便が生じるわけじゃない。むしろこの考え方のおかげでいちいち「どっち側の歩道を歩こうか」と迷わなくて済むというもの。もし、あっち側に気になる店があったら渡ればいい。
●ふりかえって威圧、ぐるーんと迂回して警戒
 だから私は日本の細い一方通行の車道でもなるべく車・バイクの進行方向に対抗して歩き、また、交通量の少ない夜道では、背後に車やバイクや自転車の気配を感じたら「くるっ」と振り返ります。これは「あたしはあなたを警戒している」という威圧の一種なのです。ドロボーは顔や車の車種を見られることを最も恐れていますからね。
 さらに、道端にアイドリング状態で停車している車のそばは絶対に通らず、嫌味なほどにぐる〜んと遠巻きに迂回します。
 以上のようなことは心がけているうちにすぐ身につき、無意識のうちに体が「ひったくられない歩き方」を覚えてくれるはずです。
 「考えるな、感じるんだ!(燃えよドラゴン/ブルース・リーのセリフより)」
 とにかくお試しください。 
●ショルダーバッグのかけ方 安全性のステップ・バイ・ステップ
 ショルダーバッグの持ち方解説。(1)から順に、安全性がより高くなると思ってください。
(1)肩にかける(車道側の肩に)
→言語道断。絶対ダメ。
(2)肩にかける(車道と反対側の肩に)
→安全性ちょっとアップ。手も添えると、ドロボーにとっては視覚的にちょっとだけ奪いにくくなります。
(3)ななめがけにする
→ドロボーにとってはさらに奪いにくくなります(これについては賛否両論あるのであとで詳しく述べます)。
(4)ななめがけにし、その上から上着を着る
→ほぼ完璧です。ひったくり被害とは無縁になります。
 ただし、上着を着るのが非現実的な気候や環境だと使えません。
ショルダーバッグのかけ方 安全性のステップ・バイ・ステップ
ショルダーバッグのかけ方 安全性のステップ・バイ・ステップ
 旅先でショルダーバッグをななめがけにすることを「いかにもおのぼりさんって感じ、だっさ〜い」とバカにする人もいるようです。もちろんTPOやファッションによってはそぐわない場合もありますが、私は「カバンをひったくられたり、ひったくられる可能性におびえるぐらいなら、バカにされたほうがマシ」と考えるようにして、よほど場の空気に合わない時以外はななめがけ+上着着用実行派です。
 ただ、確かに「いかにもドロボー対策してます」という雰囲気がムンムンでスマートさに欠ける人を見かけることもあります。そこで観察と思考錯誤の結果、どうやら決め手はデザインの上着・裾の長さ・カバンのストラップの長さで、それによって「それなりにスマート」「ださださ」の道が分かれると気づきました。
 旅行前に鏡の前でいろいろ試してみましょう。
 ちなみに、細いストラップのものを切られてひったくられるという事例もあります。ストラップは太いもののほうが安心、それにそのほうが肩への負担が分散されて疲れにくいしね。
●ななめがけは賛否両論だが……
 「ショルダーバッグのななめがけはむしろ危険だ」といわれていることは、ご存知の方も多いでしょう。
ショルダーバッグが奪われる瞬間、ストラップが首にからみつき、車やバイクにひきずられ、窒息死
上と同じ状況になり、石畳に頭を強打して脳内出血で死亡
 このようなあまりにも悲しい事故で亡くなった方がいるのは事実です。しかもそれが「たまたま偶然、珍しく」ではなく、「たまに」発生しているのも事実なのです。
 ただ、だからといって「ななめがけはタブー!」と言い切るのもどうか、と思っています。
 少なくとも旅先の路上で感じるのは、やはりななめがけにしたほうがひったくりに対しては抑制効果はあると思うし(片方の肩にただぶらさげただけのカバンよりはドロボーにとってはとりにくいということ)、安心感もあり、カメラやガイドブックで重くなったバッグをかけても疲労が少ないと思うからです。
 ただし、やはり前述のような危険の可能性も無視はできません。
 ななめがけがいいとかいけないとかだけを論じるより、まず次のような点を留意すべきではないかと思います。
(1) 「ななめがけにしてるから安心だ」と油断するべからず
(2) ひったくられにくい歩き方を心がける(前述のとおり)
 そして何より重要なのが、次のポイント。
●ひったくられたら、ひったくられろ!
 ショルダーバッグであろうと手さげカバンであろうと、絶対に「とり返そう」「追いかけよう」とは考えず、即あきらめましょう。
 中には「つかんだまま離れず取り返した」という武勇伝もあるようですが、それは稀な話で、極めて危険な行為です。
 もし首にストラップがからみついたら意地でも首からストラップをはずして放り投げましょう。
 かつてひと昔前までは、添乗員つきツアーでは参加者のパスポート全員ぶんを添乗員が集めて持っていたのですが、現在は各自が持つことになっています。そのきっかけになったのが、イタリアで日本人女性の添乗員さんが死亡した事故です。有能で責任感が強かったその女性は、お客さんのパスポートが入ったカバンを死守しようとしがみつき、やはりバイクで数十メートル引きずられて亡くなってしまったのです。
 彼女が身をもって教えてくれた教訓を、我々は学び生かすべきでしょう。
ひったくられたら、素直にひったくられろ!
敵も必死ゆえ、深追いは禁物!
盗られて困るものをカバンに入れるべからず!
 ただし「ぎゃーっ」と大声で叫ぶのはおすすめ。
 次回はひったくり後編、もしひったくられたらどうするか、その後とるべき行動についてお送りしましょう。
ひったくられたら、ひったくられろ!

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