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昨年は、吉兆さんが廃業したり、産地偽装問題など、食糧難世代の感覚では推し量れない事件が続きましたね。食の安全のために手作りが見直されているのはいいのですが、少し気になることがあります。それは、何が何でも手作りでなければという強迫観念にとらわれる人もいるのではないかな、ということ。まさに私がそうでした。「母の手作り」でなければと半ば強迫的に弁当や料理に励んでいた私の子育て共働き時代。子どもの年齢が同じということで「育児友達」をさせていただいていた料理研究家の小林カツ代さんに、「安心なお店と商品を選択すれば、総菜屋さんのコロッケやサラダを並べてもいい。3分待てばできるインスタント食品だって、ほんのひと手間加えて盛り付ければいいの。要は、おいしく食べたい、食べさせたいという愛情の方がずーっと大事よ」と言われて、ホッと力が抜けた感覚を今でもよく覚えています。
そのころと比較して、今の食環境のレベルの高いこと。冷凍食品、フリーズドライ製法によるみそ汁、スープ製品の素晴らしい味と風味! デパ地下に並ぶお総菜、多種多様なフードコーナーにレストラン。弁当の種類と値段の多様さ、どれもこれもおいしそうなものばかり! さらに病人食、介護食、ベビーフードなども日本企業の生産技術はどこも優秀、素晴らしい。今や私は便利食品&お店フリーク。連れ合いとともに休日はたいていスーパー、デパ地下、新開店のお店を聞きつけては、チェック隊!と称して食べ歩き。何が何でも手作り!にこだわらなければ、時間が節約でき、共働きもかなり楽になるのではないかしら。
食事といえば、私にはいまだに忘れられない思い出があります。今から三十数年も前、小学校の養護教諭として、朝ごはんを食べない習慣の子どもたちへの対応策に苦戦していました。ある日の夕方、保健室登校(不登校だけど、保健室までなら登校できる子どものこと)のTちゃんが、なかなか帰宅しないのです。「おなかすいたでしょ、お母さんが心配するから一緒に帰ろう」と促す私にTちゃんは、「ママは妹たちと一緒に車でもう食事に行っちゃった」と言うのです。「え! Tちゃん、間に合わなかったの?」「ううん、私はいつもおなかすかないからいいの」と。確かに、Tちゃんの食生活は通常のリズムとは違っていました。だからといって、Tちゃんだけ置いて行ってしまう家族が不思議というか、悲しくて、若い保健室の先生でしかない私は無力で、Tちゃんを抱きしめるだけで何もできなかったのです。今の私なら言えます。食事って一緒に食べることがおいしい、楽しいと表現しあうこと。おいしく食べたい、食べさせたいと思える関係性を育てることだと。あなたは職場のお昼休み、会話やその場を楽しみながら、食事していますか? ただ、かきこむだけのランチや夕食が続いたら、ビタミン“愛”が不足かも? 働きすぎでは?と立ち止まり、「おいしいね!」って表現しあっているかな?と振り返る習慣も大切に…ネ。
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