アメリカの大学の1年は、8月に始まり5月に終わる。南カリフォルニア大学の卒業式は、季節はずれの暑さに揺らめく5月のある日行われた。
アメリカの大学生は勉強漬けの学生生活を送る。その達成感を胸に抱いて臨む卒業式。だれもが大学に行けるわけではない。多くのロースクール学生は、3年間の巨額の学費のためにローンを組み、就職後約2年間ハードに働いて返済をする。そして、「学歴なんて関係ないさ、アメリカンドリーム!」の神話とは裏腹に、学歴によって、就職後の収入に大きな差が出てくる。
そんな訳で、卒業はアメリカ人にとって大きな意味を持つのだ。ジャカランダの花が満開の道を、大学へと向かう。家族総出で卒業式に向かう車で大渋滞だ。広いキャンパス内のところどころに張られた白いテントの下、学部ごとの卒業式が行われる。
荘厳な生バンドの演奏とともに入場して来る卒業生。法学部長らの長〜いお話の後に、卒業証書の授与。一人一人の名前が呼ばれ、卒業生は壇上に上がる。人種のるつぼアメリカ。各国の人の名前を読み上げるのは、一仕事だ。自分の身内の名前が呼ばれると、家族は「キャー!」の大歓声。赤ちゃんを抱えて壇上に上がる人もいた。アメリカの卒業式といえば、あの「帽子投げ」を期待していたのだが、それは高校の話で、大学ではあまり行われないらしい。
お別れムードではなく、旅立ちの士気立ち込める卒業式だった。おのおのの家族と、キャンパスを去って行く若き戦士たち。アメリカの卒業式は「コメンスメント」という。「始まり」が本来の意味であるこの言葉を使うところが、あくまで前向きなアメリカ文化を物語る。卒業=終わりではなく、卒業は人生の始まりなのだ。