時代を超えて引きつける“写楽”の世界観
1794年(寛政6年)、大判錦絵28図とともに華やかにデビューしながら、約10カ月間で姿を消した浮世絵師・東洲斎写楽。えりすぐりの作品によって、彼の画業と全容にせまる今展。
見どころはまさに“写楽の主な作品”がそろう点。「彼の人気を決定付けたのが、江戸三座の役者絵を28図同時発表した第一期。今展のラインアップは、彼の個性がもっとも発揮されたこの時期から、筆を絶つ直前の第4期までの主な作品が並ぶという夢のようなもの。こういう形でそろうのは今後ないかも」と話すのは、東京国立博物館 学芸企画部広報室の小島佳さん。
写楽の作品には、現代にも通じるインパクトがあると小島さんは言います。「“大首絵”と呼ばれるバストアップの役者絵(右作品参照)からは、いかに一瞬の表情をとらえているかがわかるし、迫力のある構図は時代を超えて私たちを引きつける魅力があると思います。また刷った当時に近い色や、背景が放つ“キラキラ”感もぜひ感じてほしいです」
特別展「写楽」
5月1日(日)〜6月12日(日)
東京国立博物館 平成館(上野)
開館時間/午前9時30分〜午後5時(土・日曜、祝日は6時まで)※入館は閉館の30分前まで※5月16日(月)・23日(月)は休館
入館料/1500円
http://sharaku2011.jp
芸術写真の精華
日本のピクトリアリズム 珠玉の名品展
19世紀の中ごろに生まれた、写真の芸術性を絵画で模倣することによって確立した「ピクトリアリズム(絵画主義)」。日本でも西欧の動向を取り込みながら、日本画と西洋絵画の両方を規範とする独自の写真表現をかたちづくるようになりました。そこで、やわらかさと美しさを持つ日本のピクトリアリズム表現の世界を、明治時代後半から1930年代までに制作された約120点と貴重な資料を通してひもといていきます。
5月8日(日)まで
東京都写真美術館 3階展示室(恵比寿)
開館時間/午前10時〜午後6時(木・金曜は8時まで)※入館は閉館の30分前まで※月曜休館〈5月2日(月)は開館〉。ただし休館日が祝日の場合はその翌日
入館料/800円
http://www.syabi.com/
世界でもまれな、香りの文化をはぐくんできた日本。今展では、香りにまつわるさまざまな美術作品を3章に分けて紹介。「香りの日本文化」では仏像・香炉などの工芸品や香木、香枕(こうまくら)など日常生活にかかわりのある品々を、「香道と香りの道具」では香道具の名品を、「絵画の香り」では香りを感じさせる浮世絵や美人画を、それぞれ展示。日本人の奥深くに眠る“香り”への思いを、五感や想像力をかき立てながら体験して。
4月7日(木)〜5月29日(日)
東京藝術大学大学美術館(上野)
開館時間/午前10時〜午後5時(土曜は6時まで)※入館は閉館30分前まで※月曜休館〈5月2日(月)は開館〉
観覧料/1300円
http://kaori.exhn.jp/
激動の時代を生き抜いた女性画家の軌跡
フランス革命が迫る中、華やかな宮廷時代を生き、断頭台の露と消えた王妃マリー=アントワネット。彼女と同じ年に生まれ、お抱えの肖像画家として、また彼女の理解者として近い場所で描き続けたヴィジェ・ルブラン。「美術界で女性画家の存在は隠れがち。今展では、激動の時代を“絵”という表現を通して生き抜いたパワフルな女性たちの姿を紹介します」と話すのは三菱一号館美術館館長の高橋明也さん。当時マリー=アントワネットの姿を唯一知ることができたのが肖像画。「トレンドのファッションを身にまとわせ、当時人気のバラをモチーフに入れるなど、絵全体で彼女のイメージを作リ上げる。ヴィジェ・ルブランは単に肖像を描くだけでなく、マリーの“ブランディング”をする重要な役割だったといえます」
男性優位の美術界で足跡を残した女性画家。「絵で生きていくと決めて、たくましく生きた女性は今も昔も同じ。どこか共感できる部分がきっとあると思います」
生誕100年 岡本太郎展
今年生誕100年を迎える岡本太郎。これを記念して開催される今展では、“対決”をキーワードに7つの章に分けて、彼がめざしたものの今日的意義を探ります。「きれい」という概念、「わび・さび」に代表される日本の伝統観、戦争や核の脅威など、その人生でさまざまなものと対決した岡本。苦闘の中から生み出された絵画、彫刻、写真、デザインといった約130点が持つエネルギーが感じとれるはず。
5月8日(日)まで
東京国立近代美術館(北の丸公園・竹橋)
開館時間/午前10時〜午後5時(金曜は8時まで)。休館日=月曜(ただし3月21日・28日、4月4日、5月2日は開館)、3月22日(火)※入館は閉館の30分前まで
入館料/一般1300円
http://taroten100.com/
シュテーデル美術館所蔵 フェルメール《地理学者》とオランダ・フランドル絵画展
質の高い17世紀オランダ・フランドル絵画を数多く収蔵しているフランクフルトの「シュテーデル美術館」。今展では、レンブラント、ルーベンス、フランス・ハルスといった三巨匠の作品をはじめ、歴史画から肖像画、風俗画などヨーロッパ屈指の名作95点が登場します。30数点しかないフェルメール作品中でも、2点しかない男性単身を描いたひとつ「地理学者」が東京初上陸するのにも注目です。
5月22日(日)まで
Bunkamuraザ・ミュージアム
開館時間/午前10時〜午後7時(入館は6時30分まで)。ただし金・土曜は午後9時まで(入館は8時30分まで)。会期中無休
入館料/1500円
http://www.vermeer2011.com
“アイデアの宝庫”に込められたメッセージ
文字を使ったデザインである“タイポグラフィ”に注目した「20世紀のポスター[タイポグラフィ]」展。19世紀までの装飾豊かな文字表現から、情報伝達を重視したシンプルな表現へと変化した文字デザイン。「時代の変化とともにシンプルなデザインが画一的と感じられるようになり、文字デザインも新たな表現を模索していく。各年代を象徴する作品を見るだけで、時代の息吹を感じられます」と話すのは、東京都庭園美術館展示係の浜崎加織さん。
ポスターには思わずニヤっとしてしまう文字情報も隠されていて、そこをよ〜く見るのも楽しむコツなのだそう。「ポスターは必ず“何かのため”に作られている。だから作られた目的がわかれば“なるほど”と思うモノもたくさん。アイデアの宝庫=ポスターから、デザイナーが1枚のポスターに込めた思いを読み取ってください」
桃山時代の終わり、京都で生まれた「琳派芸術」。今展では金と銀の華麗な装飾美を特徴とし、本阿弥光悦・俵屋宗達・尾形光琳といった絵師によって花開いた同流派を2部構成で紹介。2月11日(金・祝)からの第2部「転生する美の世界」では、宗達や光琳の後、江戸で琳派の新風を興した“江戸琳派”の祖で、今年生誕250年を迎える酒井抱一の作品を中心に、“創造”と“伝統”が感じられる個性的な世界を体感できます。
1710年、王立磁器製作所の始まりで幕を開けたマイセン。当時、ヨーロッパの人々を魅了した中国磁器をベースに、次第に器形・装飾で独自のスタイルを確立していきました。せっ器・白磁をはじめ、異国情緒あふれる「柿右衛門写し」「シノワズリ(中国趣味)」などの飲食器、優美なロココ様式の作品、現代の名品など、各時代を代表する名品が一堂に会します。今なお続く、“生きた窯(かま)”から届いた手仕事の世界をのぞいて。
“伝統×デザイン”が生み出す表現の可能性
モノトーンでシンプルながら、キラリと光るデザイン性。栄木正敏が生み出すテーブルウエアはどれも機能性と清潔さ、美しさを併せ持っています。「“良質なデザインは、毎日の生活にうるおいや喜び、楽しさを与える”。それを信念に、時代ごとのライフスタイルに合ったデザインで、オリジナリティーあふれる作品を今日まで生み出しています」と話すのは、東京国立近代美術館工芸館の諸山正則さん。
数多くの名画を残し、土木工学から医学・音楽・航空力学まで、あらゆる分野で才能を発揮したレオナルド・ダ・ヴィンチ。同展では、彼の発明品や、描かれた当時の姿をかいま見ることのできる「モナ・リザ」、460cm×880cmという実物の大きさで映像再現した壁画「最後の晩餐」などが登場。作品を通して、レオナルドの思考・発明・芸術が感じられそうです。
特別展 ダ・ヴィンチ 〜モナ・リザ25の秘密〜
2月20日(日)まで
日比谷公園ダ・ヴィンチミュージアム(日比谷公園第二花壇内特設会場)
開場時間/午前10時〜午後9時(入場は8時30分まで。日・月曜は入場は5時30分まで、6時閉場)。会期中無休
入場料/1800円
http://www.davinci-japan.com
日本で初めての写実絵画専門の美術館として昨年11月に誕生した「ホキ美術館」。約300点のコレクションの中から、人物画・静物画・風景画など163点を8つのギャラリーに展示します。対象を見たままに描いた“写実絵画”は、どれも名品と呼ばれるものばかり。照明設備から施設デザインまで、写実絵画のために設計された空間で、森本草介、野田弘志などの巨匠から若手作家まで、38人の個性豊かな作品を楽しむことができます。
ホキ美術館開館記念特別展
5月22日(日)まで ホキ美術館(千葉市)
開館時間/午前10時〜午後6時(金曜は7時まで、日曜・祝日は5時まで)。火曜休館 ※入館は閉館30分前まで
入館料/ 1500円
http://www.hoki-museum.jp
妻に支えられ、歩んだ独特の画業人生
96年間の生涯で、独自の画風と創作理念を貫いた小堀四郎。東京美術学校卒業後に渡仏、将来を期待されながらも、当時の美術界の混乱に失望し、画壇を離れて画業に専念した画家です。「“孤高の道”を支えたのが、森鴎外の次女で妻の杏奴(あんぬ)。自身もフランスで洋画を学び、もともと画家志望だった彼女は、芸術家としての彼を尊敬し、思う存分画業に打ち込めるよう、精神面と経済面の両方でサポートしました」と話すのは世田谷美術館の矢野進さん。
時代によって描く対象や筆致に変化が見られる小堀の作品。「アカデミックな作風が特徴のパリ時代から始まり、家族や近所の人を描いた〈世田谷時代〉や、雄大な自然を題材にした〈蓼科時代〉など、タッチの異なる作品に驚くはずです」
晩年は“自然の神秘”に魅せられ、大形の作品も制作。「これが完成形というものはなく、生涯自分のスタイルを模索した小堀と、随筆家の杏奴。支え合いながら歩んだ2人の“道”を展示品を通して感じてください」
浮世絵の喜多川歌麿や東洲斎写楽、戯作(げさく)の山東京伝など、江戸文化を彩った花形スターたち。彼らの作品を演出し、巧みに売り出したのが版元であった蔦屋重三郎。狂歌と浮世絵を合体させた豪華な狂歌絵本の刊行をはじめ、歌麿の才能を存分に開花させた“美人大首絵”の発明、謎の絵師・写楽の発見なども。今展では名プロデューサーとして手がけた出版物を数多く展示。多様な“江戸メディア文化”に触れることができます。
歌麿・写楽の仕掛け人
その名は蔦屋重三郎
12月19日(日)まで
サントリー美術館(六本木)
開館時間/日・月曜、祝日=午前10時〜午後6時。水〜土曜は午後8時まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日/火曜 入館料/ 1300円
http://suntory.jp/SMA/
「100年後の人々にも、生きているかのごとく見える肖像画を書いてみたい」、そう言い残し、今なお世界中の人々に愛されているフィンセント・ファン・ゴッホ。没後120年目の今年、時代や多彩な芸術家の影響を受け、自身の作風を確立していった様子を123点の作品で探ります。また「アルルの寝室」を再現した部屋や、制作時に利用した“遠近法の枠”などの道具も展示し、彼の様式や技法がどのように発展したかにも迫ります。
没後120年 ゴッホ展
こうして私はゴッホになった
12月20日(月)まで
国立新美術館(乃木坂)
開館時間/午前10時〜午後6時。金曜は午後8時まで(入館は閉館の30分前まで)
休館日/火曜 入館料/ 1500円
http://www.gogh-ten.jp/
“戦後デザイン史”ともいえる代表作が集結
デザイナーとして戦後女性の社会的地位に貢献し、日本初のデザイン専門教育機関「桑沢デザイン研究所」を創設した桑澤洋子。彼女の生誕100年をきっかけにして開催されるのが「SO+ZO展」です。「“時代とデザインを共に見る”をテーマに、日本の戦後デザインの流れがわかる展示にしました」と話すのは内田繁さん。「デザインをする上で大切なのは“観察”。人間、社会、自然を観察することによって疑問が生まれ、そこからテーマが見つかる。色や形を考えるだけでなく、“何のためにデザインするのか”という、研究所で学んだことが込められた作品の数々が並びます」
今展では戦後デザイン史ともいえる代表的な作品が並ぶ。「社会とデザインは影響し合う。各時代でデザインの持つ役割は変わるけど、“人間のためのデザイン”という本質は変わらないということを、巨匠や若手の作品から体感してほしいです」
江戸の輸送の大動脈として、また名所として現在まで親しまれてきた隅田川。錦絵、屏風(びょうぶ)、絵巻など、この地をモデルに多数の作品が誕生しました。そこで同館が20年以上かけて収集した隅田川の絵を一挙公開。舟遊びをする様子を描いた作品や、隅田川の眺めを描いた作品、さらに四季折々の姿を題材にしたものなど、多彩なものが勢ぞろい。“隅田川”を通して江戸の文化や生活をかいま見て。
特別展
隅田川〜江戸が愛した風景〜
11月14日(日)まで
江戸東京博物館 1階展示室(両国)
開館時間/午前9時30分〜午後5時30分(土曜は7時30分まで。入館は閉館の30分前まで)。月曜休館
入館料/1100円
http://www.edo-tokyo-museum.or.jp/
レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」や、ボッティチェリの「春」「ヴィーナス誕生」など数多くのルネサンス絵画を有し、“世界的名画の宝庫”とされているイタリアの「ウフィツィ美術館」。今展では、約1700点を所蔵し、世界随一といわれている自画像コレクションから、えりすぐりの約60点が登場。レンブラントをはじめとするメディチ家コレクションから、藤田嗣治やシャガールといった20世紀の巨匠たちまで、時代とともに紹介します。
ウフィツィ美術館
自画像コレクション
11月14日(日)まで
損保ジャパン東郷青児美術館(新宿)
開館時間/午前10時〜午後6時(金曜は8時まで。入館は閉館の30分前まで)。月曜休館
入館料/1000円
http://www.sompo-japan.co.jp/museum/
作品からあふれる“エネルギー”を体感して
「1枚の絵に込められた、いちずに人を愛する気持ちや、心の奥底にうずまくどろどろした感情。上村松園の作品には、女性ならだれもが共感できる強さがあります」と話すのは、東京国立近代美術館の中村麗子さん。上村松園は明治から昭和にかけて、気品あふれる人物画を数多く生み出した女流画家。師匠から学んだ“人物をじっくり観察する”ことを重視して描かれた作品は、人物の表情から帯の質感まで精巧そのもの。「“砧”に描かれている女性の目線や顔の角度からは、夫の帰りを待つ女性のせつない様子や情熱が伝わってきます」
おだやかな表情の作品が多い20代、「焔」「花がたみ」で内に秘めた情念を体現した30〜40代など、現代の私たちに響く作品が多いと中村さんは言います。「実物を見るとエネルギーが感じられるはず。ぜひ会場に来て、松園が作品に込めた強さを体感してください」
“奈良の大仏”として親しまれている東大寺の盧舎那仏(るしゃなぶつ)。同展では、大仏殿前の高さ4.5mを超える国宝「八角燈籠(とうろう)」が寺外で初公開されるほか、古代の誕生仏としては日本最大とされている国宝「誕生釈迦仏立像」が登場。さらに大仏開眼供養会などに使用された伎楽面(重要文化財)など、華やかで豊かな天平文化の世界をかいま見ることができます。
色鮮やかで大胆な表現の作品を生み出し、絵画界の革新者として新たな可能性を生み出していったアンリ・マティス。晩年、大病をきっかけに、体に負担のかからないものとして始めたのが切り絵制作。それを基にステンシル(版画)として発表されたのが挿絵本「ジャズ」です。今回はシリーズ全20点を一挙展示。サーカスや劇場をモチーフにした躍動感あふれる作品を、女性DJ・AMIGAさんによるオリジナルジャズサウンドとともに体験して。
2国の影響+個性=ベルギー美術の世界
今年の下半期、ベルギーがEU議長国を務めるのを記念して開催される「アントワープ王立美術館コレクション展」について東京オペラシティアートギャラリーの堀元彰さんに話を聞きました。(シティ編集部・小杉山)
ザ・コレクション
ヴィンタートゥール展
スイスの文化都市として知られているヴィンタートゥール。中でもヴィンタートゥール美術館は、ヨーロッパの近現代美術を幅広く収蔵することで知られています。今回はこれまで国外でまとめて展示されることのなかった作品を初めて紹介する大規模なもの。ゴッホ、モネ、ルノワール、ピカソなど、日本人にもなじみの深い巨匠の作品をはじめ、スイスやドイツの作品も多数登場。出品される90点すべてが日本初公開というのも注目です。
10月11日(月・祝)まで
世田谷美術館
開館時間/午前10時〜午後6時※入館は5時30分まで。月曜休館(ただし月曜が祝・休日の場合は翌日休館)
入館料/ 1300円
http://www.collection-winter.jp/
誇り高きデザイン 鍋島展
江戸時代に佐賀藩から徳川将軍家や諸大名への贈り物として作られた磁器「鍋島」。澄んだ青むらさき色の染め付けや、赤・緑・黄色の色絵が織りなす繊細で格調高い世界は、多くの人々を魅了しています。同展では5件の重要文化財を含む約130件の作品を、“技”“色”“構図”“主題”という視点から、デザインとしての魅力を紹介。上品でどこか新しさを感じられる器の世界を体感して。
10月11日(月・祝)まで
サントリー美術館(六本木)
開館時間/日・月曜、祝日=午前10時〜午後6時、水〜土曜=8時まで※9月19日(日)、10月10日(日)は8時まで。入館は閉館の30分前まで ※火曜休館
入館料/ 1300円
http://suntory.jp/SMA/
細部にユーモアがちりばめられた独特の世界
ことわざや民衆の生活を主題にした、ユーモアたっぷりの作風が特徴の作家・ブリューゲルの展覧会が開催。そこでBunkamuraザ・ミュージアムの廣川暁生さんに見どころを聞きました(シティ編集部・小杉山)。
“人間の本質とは何か”を作品に込めていたブリューゲルの作風は一見グロテスクに見えがちですが、よく見るとクスっと笑ってしまう描写があるのが特徴。当時、版画はマスメディアのひとつだったので、人間の弱点や愚行を描くときも、どこかに笑いを込めることで、多くの人の心に響いてほしかったのかもしれません。また注目してほしいのが版画の細部までこだわって描かれている点。すみずみまで見ていると「この人、こんな場所で何してるんだろう」なんて発見もあるはず。作品の中の世界を、一人ひとりが物語を読んでいるような感覚で楽しんでもらえたらと思います。
仏教美術が質・量ともにひとつのピークを迎えたのが平安〜鎌倉の時代。仏教諸派の活動が活発だった当時は、極楽往生のさまを描いた“来迎図”や、仏伝を示した説話画など多くの名品が生まれました。同展では、根津美術館がほこる約500点の宗教美術作品の中からえりすぐりの30点を展示。曼荼羅(まんだら)の傑作「金剛界八十一尊曼荼羅」をはじめ、初出展となる木彫「不動明王立像」を見ながら、“いにしえ”の名品に思いを寄せてみて。
多彩なコレクションを持つオルセー美術館。数多くの傑作から、19世紀末から20世紀初めにかけて“印象派”の影響を受け、才能を開花させた「ポスト印象派」の絵画を中心に115点集めたのが同展です。確かな形態描写や、鮮やかな色彩といった独特の世界を、セザンヌ、ゴッホ、ゴーギャン、スーラ、ルソーといった個性あふれる画家の名作でひもといていきます。印象派を起点としたフランスの豊かな遺産を体感して。
猪熊弦一郎展
「いのくまさん」
絵画作品だけでなく、三越の包装紙「華ひらく」のデザインや、JR上野駅コンコースの壁画「自由」など、多彩な仕事で知られる画家の猪熊弦一郎。詩人・谷川俊太郎の文を添えた猪熊の絵本「いのくまさん」をもとに構成した今展では猪熊作品約100点を谷川俊太郎の言葉とともに展示。簡潔で美しい文に導かれ、“顔・鳥・猫・色・かたち”など彼の絵画エッセンスがギャラリーに広がります。90歳まで画業を続けた作家の“創るよろこび”を感じて。
あふれるエネルギーから勇気をもらって
日本絵本界のオピニオンリーダーとして活躍し、約30年間で80冊以上の絵本を発表した絵本画家・赤羽末吉。彼の生誕100年を記念した展覧会について、ちひろ美術館の上島史子さんに聞きました。(シティ編集部・小杉山)
モーリス・ユトリロ展
パリを愛した孤独な画家
20世紀初めのフランスを代表する画家、モーリス・ユトリロ。正規の絵画教育を受けたわけでもなく、アルコール依存症治療のため、絵画制作をはじめた彼は、天性の才能で詩情に満ちた独自の風景世界を描きました。今回は「モンマーニの時代」「白の時代」「色彩の時代」の3時代に分け、ユトリロの全画業をたどり、常に孤独と隣り合わせた彼の生涯に迫ります。また展示の全90作品はすべて日本初公開なのも見逃せません!
2010年NHK大河ドラマ 龍馬伝 特別展
幕末の日本を駆け抜けた若き志士・坂本龍馬。彼の波乱に満ちた生涯を描いたNHK大河ドラマ「龍馬伝」にちなんだ特別展を開催中。土佐時代の貴重な寄せ書きや、姉にあてた書簡、龍馬が所用していた鐔(つば)など、高知や京都などに伝わる遺品や書簡類をはじめ、幕末の騒乱を伝える歴史資料を通して、坂本龍馬という人物の魅力に迫ります。また中岡慎太郎とともに襲撃された「近江屋」の部屋も実物大で復元されています。
茶 Tea −喫茶の楽しみ
息抜きや健康のためなど、お茶の楽しみ方は人それぞれ。同展では、日本独自の文化として花開いた抹茶と煎茶(せんちゃ)の世界がわかる茶道具や煎茶具など、重要文化財や重要美術品を含む約120件のコレクションが登場。注目は江戸時代にコピー商品が出まわるほど絶大な人気のあった青木木米(もくべい)の煎茶道具。さらに中国、朝鮮、日本の「水注(ポット)」や、茶に関する書画・工芸品など、多彩に展示されます。
話題のあの映画、本当に面白いの?と思ったらコチラへ。「シネくらvoice」では、ひと足先に映画を見たみなさんの感想を紹介しています。
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