京都人の京都ラブはなにゆえか
街の京都好きさん、 なんで京都がお好きなの? “京都のスペシャリスト”に聞く“京都愛“の理由 みんなの声をアンケートから紹介します
“京のスペシャリスト”に聞く京都愛の理由

「季節ごとの楽しみが尽きない町だから」
お菓子研究家
中西美和さん
 「先日、海外からのゲストに京都を案内したのですが、ついおしゃべりになってしまいました(笑)。案内している私も楽しくて」と、自らの“地元好きぶり”をうれしそうに語ってくれたのは中西美和さん。
 お菓子づくりの技術を身につけるべく、これまでに2度パリへ留学した経験も。「ほかの都市に住んでわかったことは、京都は生活ペースがとにかくゆっくり。東京やパリとは話すときや歩くときのスピードも全然違うんです」
 京都が好きな理由としてよく挙がってくるこのゆったり感”。それは一体どこからくるのでしょう?
 「季節ごとのお菓子を愛で、夏には川床で食事をしたり、京都の人は自然を取り入れながら暮らしを楽しむのがとっても上手。京都では6月になれば水無月をいただきますが、東京は“水無月って何?”といった具合。年間を通じての住み手を飽きさせない伝統文化がこのゆったりとした京都独自の空気をつくりあげてきたのだと思います」と中西さん。「また、市内なら自転車で移動できるという“適度な広さ”と、知り合いをたどっていけば誰かとつながっているという“人と人との横のつながり”も京都ならではのよさ。それが“地元にいる”“地元の心地よさ”という安心感=好きという気持ちにつながっているのでしょうね」
<PROFILE>
京都の和菓子処「鼓月」の娘として生まれる。「ル・コルドン・ブルー代官山校」で菓子ディプロム取得後、渡仏。現在、企業とのデザート開発など、多方面で活躍中。著書に「12 ヶ月のハッピーバースデーケーキ」(文化出版局)
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「心地よい時間を過ごせる鴨川にひきつけられる」
歯科医・エッセイスト
柏井 壽さん
  「京都人が京都を好きというのには、鴨川の存在も大きいのでは」と話すのは柏井壽さん。これまで10回の引っ越しを経験してきたそうですが、ナント、すべてが鴨川から歩いて5分以内のところというほれ込みよう。数年前からは毎朝5時30分に起床し、川沿いで散歩を続けているとか。
 「賀茂大橋を越えて、下鴨神社でお参り。そして上賀茂神社へ戻ってきて…が、ちょうど1時間。鴨川のように河川敷が延々と遊歩道になっている地形は日本中どこを探してもないんですよ」
 すれ違う人とは自然に打ち解けあい、ゴミが落ちていればみんながおのずと拾う。そんな心地よく流れる時間を過ごすたびに“こに住んでいてよかった”と実感させられるそう。
 「視覚的な美しさだけではありません。その水のやわらかさは、豆腐などのおいしい食材や味わい深い料理も生み出します。京都人の暮らしはこの“水”にはぐくまれてきたといっても過言ではないと思います」
 「最近のメディアで見かける、観光を意識したテーマパークのような京都は好きじゃない。先日ふらっと歩いていたら紫式部の墓を見つけました。50歳すぎた今でも新たな発見が尽きないのも京都の面白さ。そんな“おめかししない京都”こそ、住む人の心をひきつけているのだと思います」
<PROFILE>
1952年京都市生まれ。北区にて歯科医の傍ら、「京都」と「日本の旅」をテーマにエッセー執筆、テレビ番組監修などでも活躍。著書に、「極みの京都」(光文社新書)、「京都の値段1、2」(ともにプレジデント社)など。「週刊現代」(講談社)にて「ゴハンの目」を連載中
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「平安京が生みだした優越感が郷土愛へ」
国際日本文化研究センター教授
井上章一さん
 「かつて栄えた平安京の名残りが京都人の強い地元愛へとつながっている」と分析するのは井上章一さんです。「“天皇のおそばにいる”という優越感。明治に首都は東京へ移転したものの、今でも過去のプライド意識が京の町に残っているのです」。京都に住んでいることが「何となくうれしい」という気持ちは、古来からの「特別感」からきているということですね。
 「かつて工業都市であった京の都には多くの職人たちが他府県から移住してきた。そんな彼らが“京の味わい”を出すことはなかなか難しかったでしょう。宮中で行われた華やかな伝統行事への羨望(せんぼう)はもとより、そういった困難に対する職人たちの“都に追いつけ追い越せ”という負けん気こそが、実は京都の質の高いものづくりや文化を生み出す底力となってきたのです」と井上さん。
 一方、美しい町家が姿を変え、文化色も色あせつつある現代の京都にも「経済発展や時代の変化とともに仕方のない面もある」と井上さんはあくまで冷静。
 「街中が雑多としているから、山沿いの社寺仏閣のエキゾチックな美しさが際立つというもの。そのような変化も柔軟に受け入れ、京都がこれからたどる新しい道を考える時が今、来ているのではないでしょうか」
<PROFILE>
1955年京都市生まれ。京都大大学院修了。専門は建築史、風俗史。西京区の国際日本文化センター助教授を経て、2002年から現職。著書に「美人論」(朝日新聞社)、「パンツが見える。─羞恥心の現代史」(同)など多数

離れていても京都好き!
「京都人のコーディネート力に脱帽」
「SOUL WORK」オーナーデザイナー 
東京在住・古野雅子さん
  左京区の緑豊かな環境で生まれ育ち、一乗寺にある詩仙堂の近くで今のライフワークの原型となる活動を始めた古野雅子さん。東京に事務所を移して7年がたちますが、京都という土地の魅力は決して色あせないと話します。
 「離れてみて分かったのが、京都の空気のなんと穏やかだったかということ。その感覚は、無意識のうちに自分の中にインスピレーションとして宿っているかもしれません。京都では、昔から続く日本のよいものを引き継ぐものづくりや精神、生活に息づく文化が大切に育まれています。新しいもの・古いものをうまく組み合わせて、衣・食・住・遊をセンスよくコーディネートするという、いわば“編集力・サービス力”ともいえる能力は、日本各地の中でも京都人がずば抜けているのではないでしょうか。京の良さは、京都人の洗練された生きざまにこそ凝縮されているのだと思います」
<PROFILE>
1965年京都市生まれ。和柄をいち早く取り入れた独自のファッション性で注目を集める。2000年7月、青山に(株)ソールワークを立ち上げると同時に東京へ移住。7月中旬には京都で「町屋展示会」を開催予定。詳細は下記アドレスにて
http://www.soulwork-jp.com

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特集トップページへ 情報掲載日:2007.7/4