City interview
「“詩人”というポジションを、社会の中に確立させたい」
TEXT 堤 律子 PHOTO 田中幹人
chori(チョリ)(詩人)
1984年京都市生まれ。京都精華大学人文学部在学中。2005年「詩学」最優秀新人賞受賞。言葉のパフォーマンスイベント「KYOTO SPOKEN WORDS SLAM」主催をはじめ、アンソロジー詩集「1980s」監修など、オーガナイザー、プロデューサーとしても活動
chori(チョリ)
「詩人と社会がかい離していくのはよろしくない。政治家や芸能人と同じように、僕は“詩人”として納税したいですね」とニヤリ。大学よりも通い詰める(!?)夜の木屋町をバックに。
公式ホームページhttp://chori.cc/
 “詩人”と聞いて、どんな人物を思い浮かべますか?
 寡黙で、アンニュイで、近寄り難い雰囲気。何となくそんなイメージを持って、記者が待ち合わせ場所に行くと、スラリとした長身にアーティスティックなTシャツ、茶色のジャケットにニットキャップをかぶった“今ドキの男の子”が。 そして誰よりも口数多く、場を和ませてくれる柔らかな雰囲気が、失礼ながら予想外で、印象的。
 「詩を作り出したのは中学生のころ。『世界は蜜で満たされる』(※)という“一行物語集”を、詩だと思って読んだのが始まり」
 物珍しさから始まったという詩作ですが、21歳にしてすでに7年のキャリア。現在、“パフォームするために書かれた言葉”を体言する“Spoken Words Artist”として、リズムに乗せて詩を朗読するパフォーマンスや演劇「詩舞台」の上演、狂言とのコラボレーションなど、枠にとらわれずさまざまな舞台で活躍中です。
 「自分の世界で完結してしまう詩人が多いけれど、僕はもっとメディアに飛び出して、毎日どこかのテレビやラジオなどに詩人が登場するような、書店やCDショップに詩のコーナーが当たり前のようにあるような、そんな社会にしたい」とchoriさん。「詩=自己表現」は二の次なのだそう。
 「これから出てくる詩人のために、“詩”というジャンルをマーケットに乗せて、社会の中に詩人というポジションを確立するのは、7年、詩人として生きてきた僕なりの“落とし前”のつけ方だと思ってるんです」
 今年8月に出版された「chori」(青幻舎)は、7年間に書きためた作品から選んだ21編の詩集。一見写真集のような表紙とコンパクトなサイズが、“詩の世界初心者”にも親しみやすいデザインです。シティ読者にもぜひ読んでほしい1冊、とchoriさん。
 「仕事から帰って、自分の部屋で眠るまでの時間。そんなときにページをめくると、その日にたまった気持ちをリセットできるんじゃないかな。抱きマクラならぬ“抱き本”としても丁度いいサイズに作ってあります(笑)」
 11月、12月には詩人同志がライブパフォーマンスで対決し、観客のジャッジによってギャランティーが決定する「BATTLE ON POETRY」を開催予定。「自分のパフォーマンスを評価され、対価を受け取る環境に乏しい」という詩人たちの状況を打破する試みのひとつなのだそう。
 「今後の目標は?」と聞くと、「大学の授業に出席すること」という答え。そう言えば、“現役大学生”という肩書きもあるのを忘れていました。
※著/飯田茂実
情報掲載日:2006.11/8