City interview
デザインの生み出し方は違うけど、
     ふたり一緒にいるのが自然です」
Text:堤 律子 Photo:児嶋 肇
染織家
鳴瀬直幸さん・由美さん
鳴瀬直幸さん/1957年兵庫県龍野市生まれ、由美さん/1959年高知県須崎市生まれ。京都市右京区在住。1982年結婚。「染色工房 鳴瀬」を右京区に立ち上げる。着物の染めを専門とし、京都を中心に個展を開催中。
染織家 鳴瀬直幸さん・由美さん
直幸さんから見た由美さんは「思いついたら即行動」の人。反対に、直幸さんは「計画を立てて行動し、研究熱心。でも、プライベートでは性格が逆になるんですよ!」と由美さん。由美さんが締める白地に赤い更紗模様の帯は、直幸さんが手がけたもの
「ケーキ」。「染をたのしむ」展は4月5日(水)〜9日(日)午前11時〜午後5時、京都万華鏡ミュージアム姉小路館ギャラリー(中京区姉小路通東洞院東入)で。入場無料 「ケーキ」
 イチゴのロールケーキ、青空の下のんびり歩く牛、色鮮やかな気球、飲み物を運ぶギャルソン、シンデレラ、恐竜…。
ギャラリーの壁にかけられた額の中、楽しそうなこれらの絵は、すべて着物や帯地に染められたもの。夫婦で染職人として活動する「染色工房 鳴瀬」の鳴瀬直幸さん・由美さんの作品です。
 兵庫県の高校ではデザイン科に通い、絵を描く仕事に就きたかったという直幸さんと、高知県出身で、奈良芸術短期大学では油絵を専攻していた由美さん。2人が出会ったのは、京都の染工房に弟子入りしたとき。「大学時代、着物のデザインの幅広さと奥深さに魅かれて…。油絵よりオモシロイと思って、卒業してから工房に入ったんです」と話す由美さん。直幸さんも、高校卒業後、京都のぼかし染めを専門にする会社と手描き友禅の工房を経て、同じ工房に入りました。「同じ場所で、同じような生活をしていたので、今でもその感覚がありますねえ。同志のような…」と直幸さんが振り返ると、「粗食時代を共にしてきたしね(笑)」とすかさず返す由美さん。結婚生活13年目を迎えた2人の会話は、テンポも軽やか。
 「『オモシロイ』と思ったら、スケッチブックに描きとめて、数カ月後に見返してデザインにする」由美さんと、「図鑑や雑誌、スケッチからデザインを考える」直幸さん。同じ“染職人”と言っても、デザインが出来上がるまでの方法はそれぞれだとか。由美さんが「ダイエット中は、ついつい欲求が出ちゃってケーキやフルーツの絵になってしまう(笑)」と言えば、「だから僕はトーンダウンした渋い色を使ったり、落ち着いた模様を考えたりするんや」と言う直幸さん。年に6、7回開催する個展では、こんなふうにバランスをとったバリエーション豊かな作品で、訪れた人の目を楽しませてくれます。
 「工房で作業している時が一番楽しい。同時に1人で6枚くらいは作っていますが、次から次へデザインがわいてきて、時間が足りない!」のだそう。「普段の工房での作業も、休日も、どこへ行くにも一緒」という2人。作業中ぐらいは1人の世界に入りたい、ということはないのでしょうか? 「工房で2人で作業している、ということは、僕たちにとっては『一人の世界』と同じこと。一緒にいるのがごく自然なんです」。
 直幸さんの愛情表現(?)に、由美さんのカラフルな作品が応えているようでした。
情報掲載日:2006.2/8