「静かな強さがあるところにひかれました」。北川景子さんが演じたのは映画「花のあと」の主人公・以登(いと)。男に劣らず剣を振るい、ひきょうなわなに落ちた下級武士のかたき討ちに向かう。「あの時代にしては珍しく、自分の思いを貫き通す芯の強さを持っていて、でも感情を表情に出さないところが彼女の魅力ですね。私も自分を貫くところがありますが、感情が顔に出やすいタイプなので(笑)、そこは全然違いますね」
家父長制度の中で、女性の人生はある意味で男性以上に厳しく、自由恋愛などほど遠かった江戸時代。「女と侮らず、対等に竹刀を交えてくれた孫四郎(宮尾俊太郎)さんを好きになる気持ちはよくわかります。私も仕事で男性と対等でいたいので、人として対等に見てくれる人が好きです」。いいなずけ・才助がいながら、かなわぬ恋心を抱いた孫四郎のために、かたき討ちに行く秘めた女心。「でも私、才助さんのごはんをおいしそうに食べるところや無邪気な感じもけっこう好き。陰ながら助けてくれるのもいいところ。私なら…選べないなあ(笑)。2人とも全然違った良さがあるから甲乙つけがたい。やっぱり結婚するなら才助さんかな。だからラストシーンが好きです。私は才助さんについていく、という以登の決意が表れているような気がして」。人として守りたい、大事なものを考えさせられる藤沢周平作品。女心を通して描いた凛(りん)とした女性としての成長の物語だ。
同年代の友人たちは社会人1、2年生。早く社会に出た北川さんから見ると、彼女たちの悩みは少し前の自分を思い出すようだ。「昔は人見知りで、人前で自分の意見も言えませんでしたけど、仕事柄、自分の言葉で説明しなくてはいけないことが多くて、段々できるようになってきました。こびることはできないですけど(笑)」
「役と一緒に自分も成長できるのが楽しい。でも一番うれしいのは映画公開の初日。作品を初めてお客さまに手渡しできる瞬間ですから」。彼女の“以登的”強い芯が頼もしい。
1986年8 月22日、兵庫県生まれ。O型。2003年「ミスSEVENTEEN」に選ばれモデルデビュー。同年女優デビュー。06年「間宮兄弟」で映画デビュー。同年「ワイルドスピードX3 TOKYO DRIFT」でハリウッドでもデビュー。その後ドラマ「ブザービート」「筆談ホステス」や映画「ハンサム★スーツ」「真夏のオリオン」などに出演。映画「花のあと」は3月13日(土)から全国ロードショー。http://hananoato.com/
当サイト掲載の記事、写真、イラスト等の無断掲載を禁じます。
copyright © 1996-2009 SANKEILIVING SHIMBUN,inc.