オリンピックという目標に向けて、すさまじい開発を進めているお隣の国、中国。バブル期、その後の経済崩壊、ワーキングプア問題など、ちょっと先行く日本としては、高成長の陰で漏れ出てくる反日感情やチベット問題、ネットで渦巻く市民の本音などを垣間見て、何十年も続いてきた町並み、コミュニティー、人間関係を今、急激に壊して大丈夫なのかな、とお節介ながら、思わざるを得なくなる。
この「格差」に目をつけ、自虐的に笑い飛ばすのが「ミラクル7号」。主演、監督のチャウ・シンチーはナンセンスギャグの第一人者で、「少林サッカー」「カンフーハッスル」などを作った人。あのトニー・レオンとは幼なじみで同い年。トニーが香港映画界の大人の二枚目路線を極めているのに対し、シンチーは三枚目お子さまワールドを極めてきたわけだけど、それが今回初めて、お父さん役を演じている。
それがホントにいい父さんで、涙なしには見られない。浙江省沿海部の港湾都市、寧波の巨大な開発地域を舞台に、子供を私学に行かせるために無理に無理を重ねるお父ちゃん。目もくらむような建設中の高層ビルの鉄筋の上をひょいひょい歩く姿に哀愁が漂い、よく見るとトニーに負けず劣らずの二枚目フェイス。いつのまにか増えた白髪の長髪もセクシー。働きづめでもたまらぬ生活費をなんとかするため、ゴミ山でいろいろ拾ってくる姿すらカッコいいのはなんででしょう? でも、けなげな息子役を実は女の子に演じさせ(とてもそうは見えない)、独身なのに撮影後、自分の養女にしているのはかなり気になる。で、ホントはこれ、SF映画で宇宙人が出てくるのだけど、この宇宙人が実はっ…!? (映画ジャーナリスト 金原由佳)