ダンスと歌が大好きなトレーシーはテレビ番組「コーニー・コリンズ・ショー」のオーディションに異例の形で合格。天真らんまんな彼女は番組のアイドル、リンクとも親しくなるが、現場を仕切る美人プロデューサーの差別意識がエスカレートする!? ジョン・ウォーターズ監督の同名カルト映画がブロードウェイ・ミュージカル化され、それを映像化したミュージカル映画。公民権運動が盛り上がる直前で人種差別が顕著な1962年のボルチモアを舞台に、信念を貫き通す少女トレーシーの活躍が描かれる。
ポッチャリというより小デブなヒロインを演じるのは、1000人を超す候補者から選ばれた新人ニッキー・ブロンスキー。本作のプレミア・パーティーから締め出されかけた逸話も納得の女優らしからぬ外見だが、歌とダンスは抜群。体重と反比例する軽快なステップを目にすれば、一緒に踊り出したくなるはず。「デブだからオーディションで苦い思いをするのでは」と心配する巨漢の母親を逆にやる気にさせたり、アフリカ系の友人たちが肌の色で蔑視(べっし)されるのに正々堂々と異議を唱えたり。裏表がなく、はちきれんばかりにエネルギッシュで、常に前向き。そんなトレーシーを見る側の気持ちも確実に高揚する。「見かけじゃないよ、心だよ」というくっさいセリフを体現した、実にチャーミングな女の子だ。そのトレーシーの敵役を演じるのがミシェル・ファイファー。「不美人や黒人=人間じゃない」思考の持ち主だが、49歳とは思えぬ美ぼうに説得力アリ!
損な役回りだが、髪の毛を振り乱して演じる根性に大物女優の余裕も感じられる。
一方、男優陣も見ものだ。伝説のドラッグ・クイーン、ディヴァイン超えを狙った女装のジョン・トラヴォルタはもちろん、正当派アイドル役のザック・エフロンのウィンクきらりにもやられた! ちなみにオリジナル版の監督と主演のリッキー・レイクがカメオ出演しているので、お見逃しなく!(ライター 山縣みどり)