小さいころ、ちょっとしたケガでも、救急箱の消毒液の香りがする真っ白い包帯をまくと、なんだか名誉の負傷という勲章をつけたような気分がして「しっかり治しているんだ」と安心できた。そんな気持ちをふと思い出させてくれたこの作品、天童荒太原作・堤幸彦監督の「包帯クラブ」。
まずこのクラブの発想にびっくり。インターネットに投稿されたその人が傷ついた出来事の場所に、真っ白の包帯を巻いて手当てをしてあげる。それをデジタルカメラで撮影して、投稿者に送るというこのクラブ活動。例えば、サッカーの試合でオウンゴールをきっかけにいじめを受けている少年には「包帯で巻かれたゴールポストの写真を」、恋人と別れ失恋の傷を抱える人には「包帯のはためく思い出のベンチを」というように。
一見笑える行動でも、メンバーが必死に街中のあちらこちらに包帯をグルグル巻いて歩く、それがとても純粋で楽しそうでうらやましい。たくさんの人の傷を和らげてあげたいという思いで巻かれた包帯がはためいているのを見ると、心の傷も包帯で癒せるのかもしれないと本気で思う。傷を傷と認めてもらう、認めてあげる、包帯はすごい力をもっている。映画では友情をもつないでしまう。
主演は、エキセントリックな裏に深い思いを抱えている少年ディノに「誰も知らない」でカンヌ国際映画祭・最優秀男優賞を最年少で受賞した柳楽優弥、ディノと出会い「包帯クラブ」を結成する女子高生ワラに石原さとみと、若手俳優陣の演技が本当に素晴らしい。一見するとありえないようなクラブ活動がどこの町でも始まっているのではないかと思わされる。
柳楽優弥は驚くほど大人になっていて、鋭い力のある目に確かな演技、さすがはカンヌ俳優。石原さとみもドラマや舞台を経験した深い自然な演技で、横顔が美しい。脇を固める若手の俳優陣も個性が際立つ。 (ニッポン放送アナウンサー 増田みのり)