

監督:クエンティン・タランティーノ 出演:ブラッド・ピット、メラニー・ロラン、クリストフ・ヴァルツ、ダニエル・ブリュールほか
11月20日(金)からTOHOシネマズ日劇ほか全国公開(配給/東宝東和)
公式サイト
http://i-basterds.com/
インモラル? でも抵抗できない面白さ オタク監督タランティーノの底力!
第二次世界大戦中にナチスがユダヤ人に行った残虐非道な仕打ちを糾弾する映画は多く、見るたびに強い憤りを覚える。が、クエンティン・タランティーノ監督の新作「イングロリアス・バスターズ」には意表をつかれた。
物語の軸となるのは、第二次世界大戦中のドイツに、アメリカ軍が送り込んだユダヤ系アメリカ人兵士で組織された暗殺集団バスターズと、ナチス将校に家族を虐殺されたユダヤ人少女ショーシャナ。ドイツ兵士を次々に殺害する暗殺集団とパリの映画館オーナーになったショーシャナはヒトラーがプレミア上映に出席すると知り、命がけの戦いを挑む!
キャラの説明や状況説明から始まり、徐々にヒトラー暗殺作戦の全ぼうが明らかになる5章立ての構成だ。同胞の思想に激高し、彼らを虐殺した罪で死刑寸前だったドイツ兵士も加わったバスターズの暗礁をじっくり描くあたりはもうタランティーノらしさ全開。ドイツ兵士の頭皮をはぎ、軍の情報を明かさない将校をバットで撲殺し、額にナイフで鉤(かぎ)十字マークを刻む。目を背けたくなるときもあるが、気分すっきり。また、残酷なユダヤ・ハンターの小粋なセリフや美人スパイのうっかりぶりに思わずクスリ。われながら不謹慎で不道徳とは思うが、恐怖から笑いを引き出す監督の才能に脳と体が素直に反応するのだから仕方ない。150分弱という長さだが、溜飲(りゅういん)が下がるクライマックスまで一気呵成(かせい)。最後の襲撃シーンは特に、鳥肌もののかっこよさだ。
「地獄のバスターズ」に敬意を払ったタイトルや冒頭の音楽をはじめ、ブラッド・ピットが演じる軍人の名前など、マカロニ戦争アクションや第二次世界大戦中のドイツの映画会社ウーファーへのオマージュが満載。監督のオタク魂がさく裂した快作だ。
(ライター 山縣みどり)
[ 活躍する女性4人のcinema essay ] | 2009.11/11 09:00
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