« 今さらだけどYahoo!とライブドアが似すぎている件について | メイン | iPodのバッテリーを長持ちさせるには? »
2006年02月03日
プリンターのインクカートリッジが安くなることはないのか
家庭用プリンターのメーカーの利益を支えているのは、本体の売り上げではなくて、むしろインクなどの消耗品だという事実があります。
家でハガキや写真をプリントしていると、頻繁に「インクを交換してください」というメッセージが出て、「あれ?変えたばっかりなのに〜」と思ってしまうことがないですか? 色数の多いプリンターなら、ほれマゼンタだ、イエローだとそれだけ交換する回数も多くなるから「またかよ!」と思ってしまうよね。起動時やクリーニングでもインクを消費するから、だんだんプリントするのがもったいなく感じてくるし、空のインクカートリッジが積み上がっていくのも、資源的にすごく無駄使いをしているような気がして、あまり気持ちのいいものではないです。
今インクカートリッジの単価は、1本あたり800〜1000円前後という価格で、6色機だと1セットで5000円程度かかるということが多いです。今使っている分+予備の1セットを揃えておくとすると、手元には常に1万円分のインクがあるということになり、プリンター本体が高機能なものでも3万円程度で売られていることを考えると、これはかなり高いと言ってもいいのでは。さらに液体の単価として考えてしまうと、標準的なインクカートリッジだと50〜80円/mlとなり、750mlボトルに換算すると仏ワインの中でも稀代の銘酒といわれる「シャルレ・ブノゴーリュ1968年ヴィンテージ」よりもはるかに高い液体だということになってしまいます。
いや、ワインのことは全くわからないのでそんな酒があるのかどうかは知らんけど、言いたいのはとにかくそんだけ高いということです。
1月31日の日経新聞の記事で、キヤノンがインクカートリッジをリサイクルして安く販売していた業者に勝訴したというニュースが報じられていたけど、「インク高いな〜」と常々思っている人間にとっては、これで競争が制限されることで、さらにインクが高くなっていく、もしくはもうこれ以上安くなることもないのか…とちょっと心配です。他のメーカーでも同じような訴訟を起こしているので、業界全体でインクカートリッジへの他業者の参入ということに、かなり神経をとがらせていることがわかります。
そもそもなぜメーカーがここまでインクにこだわるのかというと、本体と消耗品を含めたプリンター事業全体の販売金額では、インクが占める割合が50%を超えるという事実があります。製造コストの高いプリンター本体よりも、製造コストの低いインクの方が販売金額ベースで大きく、「より儲かる」というのが消耗品市場。言い換えれば、メーカーにとってはインクを売るために本体を作っているようなもので、それだけ重要な収益源となっているのです。
このようなビジネスモデルには他に代表的なものとして“本体を赤字で売って通話料で儲ける”携帯電話があげられるけど、こういったモデルをうまく構築できれば、企業にとっては安定的な収益が得られる「ウマイ商売」になるわけです。1万円を切るような激安プリンターが出てきているけど、まさにこの商売の典型のようなもので、このタイプはさらにインクカートリッジが割高だったりするので気を付けましょう。ほとんど印刷しないのだったらいいと思うけどね。
それだけ重要な収益源だから、巨額の開発費を投じて「インク消耗機」を作っているのに、他の業者にインクだけ“ただ乗り”されるとメーカーとしては大いに困ります。そこで数々の特許や技術でがんじがらめにして、簡単には互換品が作られないようにと色んな手を打っているわけです。上の訴訟もその特許を侵害したというところが争点になっていました。
新機種が出るたびにカートリッジの形状が変わり、同じメーカーでも旧機種で使っていたインクが使えないということがよくあるけど、これも互換品やリサイクル品が使えないようにするためというのも大きな理由の一つです。
しかし、そうやってインクカートリッジに高度な技術や特許を投入することで、インクカートリッジ自体の開発コストも膨大になっているとのこと。開発費がかかるのは、もちろん「印刷品質を高めるため」というのが一次的な理由ではあると思うけど、互換品で市場に参入されないようにするためという意味合いも大きいのです。つまり、互換品を防ぐ(=利益を独占する)こと自体がインクカートリッジの開発費を高くする原因にもなっているわけです。開発費は単価に反映されるから、結局それを消費者が負担することになるんですな。
それだけ高いコストをかけているわりには、インクの残量にはわいあい無頓着なようで、実際にはまだ残っていそうなのにもかかわらず「インクを交換してください」というメッセージを出し続けるのは不思議ともいえます。
そして「インク消耗機」を製造する一方で、カタログなどでは“ウチの機種がいかに経済的か”ということをアピールしています。もちろんメーカーにとっては消耗品の消費量が多ければ多いほど利益になるわけで、実際はそれを考慮した値頃感のあるところに落ち着かせようとすることになります。
写真1枚プリントするのに20〜30円というのが平均的なコストだそうだけど、これはDPE店でのプリントと比べたときに、ほぼ同じ程度の価格という値頃感があるために設定されているのでしょう。本当は本体の価格が勘案されていないので、DPE店の価格と比べるのは意味がないんだけどね。冷静に考えると家で写真プリントなんてできなくなってしまうんだけど、お手軽さや“経済性”をアピールすることで、今のところはうやむやにできているのではないでしょうか。
あるメーカーは株主向けの決算説明会で、「消耗品の使用頻度の高い複合機のラインナップを多くして、消費頻度の低い単機能プリンタはラインナップを絞りこんでいく」「インクカートリッジの値下げはしない」ということを明言しており、「消耗品の利益重視」になっていくことは、これからも避けられないようです。企業がそうやって利益を追求するのは当然のことだけど、あまりに過熱してユーザーが“冷めてしまわない”ように、うまいバランスを考えてモノづくりをしてほしいです。
投稿者 dennou : 2006年02月03日 16:29
固定リンクURL:http://www.citywave.com/dennou/archives/2006/02/post_49.html
はてなブックマークに追加
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.citywave.com/cgi-bin/blog/mt-tb.cgi/211
このリストは、次のエントリーを参照しています: プリンターのインクカートリッジが安くなることはないのか:
» リサイクル品はトラブルの元なのか? from プリンタのインク代を確実に安くする方法
この記事は、互換インクはプリンターを壊すのか?の続きです。
デジカメのツボ.JPサンの記事の中で
リサイクルインクの性能は?というものを見つけました。... [続きを読む]
トラックバック時刻: 2006年11月11日 17:34
コメント
PC周辺でいうと、プリンタは嫌な存在だよね。
特に複合機。一瞬「多機能・省スペース」で良い様な気がするけど、それぞれの機能の使用頻度と寿命のバランスが悪すぎる。一番ナーバスなプリンタヘッドがダメになったら同時に、スキャナもコピーも買い替えざるをえないもんね。
ところで、まだ試したことはないけど、プリンタ本体のメーカー保障期間(1年)が過ぎたら、必殺「詰め替えインク」に挑戦しようかなと思ってますが、実際の色再現性はどうなんでしょ?
投稿者 たかんぼ : 2006年02月03日 23:56
仕事ならともかく、普段の生活でスキャナーって使う機会は
ほとんどないですからね。
でもラインナップ自体が複合機ばっかりになって、値段も安いので
わざわざ単機能機を買う意味もなくなってきてますね。
キヤノンが出してるような超コンパクトなA4機みたいなのをもっと出して欲しいです。
詰め替えインクは使ったことはないですが、
写真以外をプリントするならいいんじゃないかなと思います。
投稿者 電脳 : 2006年02月05日 13:50
さとぬが、広いインクや広いメーカーなどをscrollbarsしなかった?
投稿者 BlogPetのさとぬ : 2006年02月06日 12:27
管理人さんの言うことよくわかります。
かと言って詰め替えインクも海外から低品質なインクを数十円で仕入れて、売値が十数倍で売っている事実は、もっと酷い気がするんですよね。詰め替えは、自己責任とか言ってプリンタメーカの修理の大半は、詰め替えインクが原因とサービスの人から言われました。詰め替えインクの仕入れ額に対して極端に売値が高い気がしませんか?
それに、プリンタメーカに環境問題を意見していて電気量販店のプリンタメーカのリサイクルBOXやエコリカBOXから空のカートリッジを盗む指示を社員に出す悪質な詰め替え会社もあるようですしね。
一番無難なのは、プリンタが幾分高くてもインクは、もう少し安くなることが無難なのでしょうかね?詰め替えインク販売業者も自社で詰め替えインク用プリンタを開発して売ればフェアなんですけどね。
勿論詰め替え用プリンタですからどこの詰め替えインクでも詰め替えOKじゃなきゃオカシイですけどね。
詰め替えを売るための口実に感じます。
プリンタメーカだけ悪者に出来ない話ですよね。
投稿者 電磁朗 : 2006年10月01日 18:24
管理人さんの言うことよくわかります。
かと言って詰め替えインクも海外から低品質なインクを数十円で仕入れて、売値が十数倍で売っている事実は、もっと酷い気がするんですよね。詰め替えは、自己責任とか言ってプリンタメーカの修理の大半は、詰め替えインクが原因とサービスの人から言われました。詰め替えインクの仕入れ額に対して極端に売値が高い気がしませんか?
それに、プリンタメーカに環境問題を意見していて電気量販店のプリンタメーカのリサイクルBOXやエコリカBOXから空のカートリッジを盗む指示を社員に出す悪質な詰め替え会社もあるようですしね。
一番無難なのは、プリンタが幾分高くてもインクは、もう少し安くなることが無難なのでしょうかね?詰め替えインク販売業者も自社で詰め替えインク用プリンタを開発して売ればフェアなんですけどね。
勿論詰め替え用プリンタですからどこの詰め替えインクでも詰め替えOKじゃなきゃオカシイですけどね。
詰め替えを売るための口実に感じます。
プリンタメーカだけ悪者に出来ない話ですよね。
投稿者 Anonymous : 2006年10月01日 18:25
詰め替えインクを肯定するわけじゃないんですけど、
(個人的には使わない派です)
競争がない状況で価格が高止まりするのだけはやめてほしいんですよね。
たぶん今となってはプリンター本体の価格も高くするわけにはいかないだろうし、インクの値段も高価な特殊カートリッジを使っている以上、下げようがないと思います。
そこで解決策ですが、インクの容量を今の倍くらいにしてくれればいいんじゃないかと。
単純に液体の量が倍になっても、コストはそんなに変わらないんじゃないかと思えるので…
今のカートリッジのインク容量は少なすぎると思いますよ!
投稿者 電脳 : 2006年10月02日 18:30
Anonymousさんのも一つの案ですよね。
どうせなら、メーカーが全て完全回収して古いカートリッジを持ち込んだユーザーには、インクを安く売ってくれるなら良いのですが。
使う側もわざわざインクの質を詰め替えインクレベルに下げて使いたいワケでは、ないのですからメーカーにとっても客にとっても良いと思うんですよ。
詰め替えインクは、高いインクを買ってもプリンタが壊れる事があるので信頼感薄いです。でも、逆に安い詰め替えインクの方がトラブルが全くなかったり不思議な事多いです。
やはり純正が何とか安く買える仕組みをプリンターメーカーが考えないと保証期間の度に詰め替えで壊れても純正で壊れたとして修理出さざる負えない客があとを絶たないと思います。どんなに質の悪いインクを買わされても詰め替えインク側は、詰め替えは、自己責任とか言ってますし。
投稿者 toribaue : 2006年10月17日 13:16
