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2007年02月15日

もしもボックスはパラレルワールドへの入り口!? ドラえもんで学ぶ「やさしい量子力学」

自分の中でのドラブームは沈静化するどころかますます盛り上がってきており、このままではこの春公開の「ドラえもん のび太の新魔界大冒険」を観に行かないわけにはいかない! と思い詰めて、では今からその予習をしておこうと旧作の「魔界大冒険」をDVDで観ていたところ、そこに重要な科学理論が奥深いテーマとして含まれていることに気づいて「うーむ」と唸りました。

「魔界大冒険」のストーリーを簡単に言うと、魔法にあこがれたのび太が「もしもボックス」を使って魔法の世界を実現させたところ、その世界の地球に他の星から悪魔が人間を支配しようと攻めてきて、それをみんなでいつも通りやっつける、という話です。

小学生のころに劇場に見に行ったのに、ストーリーを完全に忘れていて初見と同様に楽しめた、というのにも驚いたけど、それよりも驚いたのが、「もしもボックス」が「もしもの世界」を実現させるための道具なのではなくて、実はパラレルワールドに移行するための道具であった、ということです。これはドラミちゃんの何気ない説明から判明しました。

つまり、もしもボックスで「もしも○○がなかったら」と話すと、現実の世界がそのように変化するのではなく、パラレルワールドの一つの「現実に○○がなかった別の世界」に自分たちがスライド移行するというわけです。映画の中でも、悪魔が攻めてきたことから再度もしもボックスを利用して、元の世界に戻ろうとするわけですが、「そんなことをしたらこの魔法の世界はどうなるの?」というのび太の質問に、ドラえもんとドラミちゃんが「この世界はこのまま続いていくので問題はちっとも解決しない、悪魔に捕まったジャイアンやスネ夫たちも助かるわけじゃない云々」という回答をしているのです。これってちょっと恐くなくなくないですか!? 

そしてパラレルワールドというのはSFの世界の話だと思われていますが、実は原子や素粒子といったミクロの世界を研究する量子力学の世界では、この問題について真面目な議論が続いているのです。そこでわたくしめは数学や物理の素養も全くない“理系素人”ですが、読者の方々を彼方に置き去りにしてでも、僭越ながらこの解説に挑んでみたいと思います! 



●白でもあり黒でもある、不思議な状態とは!?

量子力学で行われる実験で、次のように例えられるものがあります。

(1)箱の中に白の石か黒の石かのどちらかが入っている。ただし、フタを開けてみるまでは、中に入っているのが白の石か黒の石かはわからない
(2)実験者がフタを開けて中に入っている石の色を観測する
(3)これを繰り返す

中に入っている石の色が完全にランダムだとすれば、1/2の確率で白、または黒が入っていることになります。しかしこの例に近い量子力学の実験では、観測した結果が白または黒だったとしても、フタを開けて確認するまでは白でもあり、黒でもあったという、確かな痕跡があるそうなのです。

つまり、フタを開けるまでは中の石は白でもあり、黒でもあったのだけど、フタを開けて誰かが観測した瞬間に白か黒に決定してしまった、と考えないと、つじつまが合わないということになるのです。

確かに考え方としては、誰かが中の石を確認するまでは、白である確率と黒である確率はそれぞれ1/2なのですが、それはあくまで確率論としての話。箱の中にある石の色は誰かが見るまでもなく、すでに決定しているはずで、現実にそんなことがあるんだろうか?という疑問が生じますが、ミクロの世界の実験では数々の客観的な証拠から、確かにそのような状態にあったと推測されるのです。

ではなぜそのような現象が起こるのか。これは「観測問題」として取り上げられる現象で、人が“見る”という行為によって白か黒かどちらかに決定するのだ、という解釈(バカバカしいと思いますが超真面目な科学的な話です)や、人間にはまだ理解できないだけで、実は決定される要因がどこかに存在しているのだ、という解釈など、様々に議論されていますが、この観測問題は未解決となっています(この問題を考えるための例として、シュレーディンガーの猫という有名な例題があります)。

SF好きの人なら妄想したことがあるかもしれませんが、「実は自分が何かモノを見ている間だけそのモノが存在していて、自分が見ていない間はそれは存在しないのだ」と考えるようなことが、実際にミクロの世界ではあるのではないかということなのです。

で、この「白か黒に決定した状態」というのを量子力学では「波動関数が収縮した状態」というのですが、収縮する前は「白でもあり黒でもある」という重ね合わせ状態になっています。白か黒か、という2通りの場合なら、箱の中にあるのが白である世界と黒である世界の“2つの世界”しかないわけですが、これが8色だったらどうなる? さらに64色だったら? 4096色だったら? もしかして65536色だったらどうなりますのんかいな!? ということになります。

ここでさっきの「パラレルワールド」に繋がってくるわけです。波動関数が収縮する前には、白でもあり黒でもあり赤でも青でも緑でもあるという状態が同時に存在していて、「白い石」が観測されたこの“現実世界”以外にも、「黒い石」が観測された他の世界が同じように存在する、という考え方があるのです(エヴェレットの多世界解釈)。実際の量子力学で主流なのは、このようなSFロマンチックな考え方ではありませんが、真面目に議論されているうちの一つの考え方です。

つまりもしもボックスとは、量子力学的に言うなら「波動関数の収縮状態を自在に選択できる装置」ということになります。「もしも宝くじが1億円当たったら!」ともしもボックスに話すと、「現実に宝くじが1億円当たった状態に収縮(決定)している別の世界」に移動するというということになるんですね。だから元の世界(宝くじが当たっていない世界)は、自分も含めて何の影響もなく続いていることになるわけなので、これは切ない話です。


ひみつ道具ひとつにも、量子力学という奥深いテーマが込められているとは、さすがはドラえもん、さすがは多数のSF作品を手がけておられる藤子・F先生ということですね! そしてこのような考察の後に感じたことは、ドラミちゃんのもしもボックスはキュートな花柄で可愛らしい、ということと、ドラミちゃんのようなお兄ちゃん思いの頼りになる妹がいたらいいのにな〜ということでした。



ドラえもん「のび太の新魔界大冒険」
http://dora-magic.com/index.html



[関連記事]
人生に必要なことは全てドラえもんから学んだ 「みんなのドラえもん展」が開催
http://www.citywave.com/dennou/archives/2007/01/post_96.html

投稿者 dennou : 2007年02月15日 11:30
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