“くるぶしの龍”が引き合わす、私と女性彫師の運命─「マタニティドラゴン」

小説]著者:川本晶子 出版社:筑摩書房/1575円

 毎日同じことを積み重ねていても、今日も、明日も同じとは限らない。ふとした出会いが、大切な出会いとなって、思いもよらない私になることも。

 タウン誌の編集者として、街で取材を続ける私。街に「女の彫師がいる」と聞いて、どうしても会ってみたくなります。薄暗いアパートに住む彫師・彫芋さんは、龍にしか興味がない、風変わりな人で…。
 忘れかけていたころ、自らの体で練習をする彫芋さんから、「新しい龍を彫りました」と連絡が。私と彫芋さんは“くるぶしに彫られたかわいい龍”をきっかけに、距離が縮まっていきます。
 やさしいリズムの文体からは、世界が全く違う2人の心の交流が、すぐそこの日常として身近に感じられます。未来への期待も感じられ、心地よい読後感が訪れます。

 著者は「刺繍」(2005年)で第21回太宰治賞を受賞。本書には、失った恋の物語「ことり心中」も収録されています。

Citywaveスタッフ | 09/03 10:20 | コメント (0) このエントリーを含むはてなブックマーク
http://www.citywave.com/book/2008/09/03_01.html

コメント

コメントしてください