緩やかな自己破壊を描く『ハイドラ』

小説]著者:金原ひとみ 出版社:新潮社

もちまきさんが綿矢りさの『夢を与える』を紹介してくれましたが、私は綿矢りさと同時に芥川賞を受賞した金原ひとみの『ハイドラ』を読みました。
(『夢を与える』も読了済)
『夢を与える』の主人公はチャイルドモデルからCMモデル、TVタレントになっていく少女でしたが、
『ハイドラ』の主人公もモデル。
ミーハーこまったちゃんとしては、同時に芥川賞を受賞した若くて美人の作家二人が同時期に「モデル」を題材にした本を出版したことに興味が湧きました。

どちらの作品も退廃的。
作品全体を流れる暗さを評価して今回は金原ひとみに軍配をあげたい。
(あくまでもこまったちゃん的独断と偏見なので反論はおありだろうが、ご容赦を)

芥川賞を受賞した綿矢の『蹴りたい背中』では、日常に潜む悪意を描いた比較的単調なストーリーを彩った「日本語マニアかよっ」と叫びたくなる言葉の選び方に舌を巻いたが、『夢を与える』では日本語へのこだわりが薄いように感じられた。
数箇所で、綿矢らしい美しい日本語の表記にうっとりとさせられたが、全体を通しての感想は前述の通り。

逆にスプリットタンという刺激の強い題材でセンセーショナルなストーリーを紡いだ金原の『蛇にピアス』は、文体が素直というか、使う単語も平易で、「まだまだだな」と思わせたものだが、今回の『ハイドラ』では「うまくなったなー」というのが率直な感想。
そもそも金原の父親は、翻訳家で法政大学教授の金原瑞人氏で、金原は年齢をごまかして父親の創作ゼミに潜り込んでいたという努力の人。
その努力は今でも続いているのだろう。
鮮やかな成長振りに拍手を送りたい。

そして、次作でもさらなる成長を見せてくれるものと期待する。

金原はまだ23歳。
10年後、20年後の彼女の作品を読むために、長生きしようと思うこまったちゃんであった。

こまったちゃん。 | 06/04 16:08 | コメント (4) このエントリーを含むはてなブックマーク
http://www.citywave.com/book/2007/06/post_172.html

コメント

おー、私もこれ読んだばかりでした!!
紹介しようにも、私には適切な表現が思い浮かばなくて…( ̄□ ̄;)
実は初金原ひとみ作品だったのですが、
この退廃的な雰囲気にどっぷりとはまりましたよ〜。
歳を重ねてた今後の作品が楽しみです。

で、実は綿矢りさも未体験。
両人のご推薦とあっては読まねばね。

 投稿者トリッピー :2007年06月04日 21:56

そうそう。
私も紹介しようと思ったものの、記事のタイトルにかなり悩んだ〜。
悩んだ割にはパッとしないんだけどね(笑)

わけあって数日間プチひきこもりしてたので、この暗さはちょうどよかったです(爆)

明日から社会復帰なので、明るい作品を読みたいなと思いつつ、今日一日はアマゾンから届いたばかりの『純情ロマンチカ』を読み耽っていました。
胸キュンBLもいいけれど、電車で読めないのが難点(なんせ小心者なもんで)
明日から鞄に何を入れていくか悩んでいるこまったちゃんでした。

 投稿者こまったちゃん。 :2007年06月04日 23:00

金原さんが芥川賞とったときに、
どれどれって、「蛇にピアス」読んでみたものの、
あぁー、ついていけねぇー、この世界。
と思ったのに、
2作目の「アッシュベイビー」も読んでしまい、
あぁー、もう理解できましぇん!
って、結論に至り、以来、金原さんからは、
遠ざかっていたのですが、
そっかー、いい感じに成長をとげていたのですね!
確か、まだ23歳ですもんねー!
読んでみます〜!

追伸:こまったちゃんが明るくなれるような
   明るい本をご紹介しなくっちゃ!

 投稿者もちまき :2007年06月09日 00:02

ゲゲっ。
私、「蛇にピアス」を「蛇とピアス」って間違えてるね・・・。
団鬼六原作、杉本彩主演の「花と蛇」と混ざったんでしょうか・・・(爆)
直しときます・・・コソコソ。

金原さんも綿矢さんもまだまだ若いので成長の可能性は無限大!
楽しみですね(^^♪

明るい本、ぜひともよろしくです。
今は、もちまきさんブログで紹介されてたさとう珠緒ちゃんの『超教養』で笑かせてもらってますよ(笑)
珠緒ちゃんは木の実ナナさんのお芝居を観に行ったときに劇場で至近距離にて見たことがあるんですがTVで見る数倍かわいらしかったです。
ちゃんと大人の女性でしたよ(笑)
あのうるうる目にはオジサマたちはイチコロでしょうな。
うちのおっさん(亭主のことざんす)もメロメロでした(爆)

 投稿者こまったちゃん。 :2007年06月10日 21:46

コメントしてください