どの一行目の続きを読みたいですか?『小説の一行目』

その他]編者:小説の1行目研究会 出版社:しょういん

昭和十年に開始された芥川賞(正式名称:芥川龍之介賞=純文学作品に贈られる賞)と直木賞(正式名称:直木三十五=大衆文芸作品に贈られる賞)。

この有名すぎる二つの文学賞の受賞作の最初の1行(正確には1センテンス)によって構成された本です。

白いページに1作品のファーストセンテンス。
年代順でもなく、賞ごとでもなく、作者順でもないまったくの順不同なのが、Good♪

私の場合、心惹かれるのは直木賞受賞作が多いんですよね。


第一の死体発見者は、筑橋市のはずれの穴生町の、六十二歳の農婦であった。
『復讐するは我にあり』佐木隆三(昭和50年下半期 直木賞)


石山の臑には子供の時に鉄条網で怪我をした痕がある。
『柔らかな頬』桐野夏生(平成11年上半期 直木賞)


狂気と正常とは、ある明確な一線を境にしてキッカリと左右に峻別されるものではあるまい。
『ナポレオン狂』阿刀田高(昭和54年上半期 直木賞)


『うふゝゝ、うい奴だ。』
『吉野町太平記』鷲尾雨工(昭和10年下半期 直木賞)


昔。
『後巷説百物語』京極夏彦(平成15年下半期 直木賞)


東京都江東区高橋二丁目の警視庁深川警察署高橋第二交番に、同町二ノ三所在の簡易旅館「片倉ハウス」の長女片倉信子がやってきたのは、平成八年(一九九六年)九月三十日午後六時頃のことであった。
『理由』宮部みゆき(平成10年下半期 直木賞)


気になるセンテンスは、直木賞受賞作であるだけではなく、読んだことのある作品が多いですね。
宮部みゆきも阿刀田高もむさぼるように読んだ時期がありました。

でも一番気になるのはコレ!

さびしさは鳴る。
『蹴りたい背中』綿矢りさ(平成15年下半期 芥川賞)


くしくも綿矢りさは、もちまきさんが紹介してくれたばかり。
綿矢りさの『蹴りたい背中』と金原ひとみの『蛇にピアス』という芥川賞受賞作を掲載した文藝春秋を読んで、舌を巻いた覚えがあります。

驚くべき点は綿矢りさの日本語ヲタぶり。
平易な言葉ながら、これ以外にはありえない!という的確な言葉を並べた『蹴りたい背中』の導入部分には大げさじゃなくて本当に目を瞠りました。

ストーリーは金原ひとみの方が上だと思うのに、綿矢りさの言葉へのこだわりがとても心地よく感じられたのです。
とくにこの「さびしさは鳴る」には参りました。

そんな自分の驚きまで再認識させてくれたこの本を、すべての本好きさんにオススメします!

一行目に心惹かれて、本を読み始める・・・
そんな読み方も楽しいかもしれません。

こまったちゃん。 | 02/17 00:34 | コメント (4) このエントリーを含むはてなブックマーク
http://www.citywave.com/book/2007/02/post_117.html

コメント

こんな本、どこで知ったんですか?
本屋の店頭??
すごいおもしろそうっ!
文章は書き出しが大切…って学校でも習いました。
一行目でハートを掴むか否か、大事ですよね。
「さびしさは鳴る」
ぐっと掴まれますね!

 投稿者タナ :2007年02月17日 17:25

いいでしょー。
ぜひとも読んでみて。

同じ1センテンスでも、一文字もあれば、何行にもわたるものもあり、そのどちらにも筆者の強い想いを感じました。

 投稿者こまったちゃん。 :2007年02月18日 01:31

ぐっ!これは読まねばなるまい!
こまったちゃんすごい本見つけましたね〜。
私ったら、天邪鬼なので実は受賞作を殆ど読んでないの!
でもこりゃダメだ
「さびしさは鳴る」
センス良すぎです。読むぞ〜。

 投稿者トリッピー :2007年02月18日 04:32

「さびしさは鳴る。」以外にもさすがだなーという一文にたくさん会えるので、この本で好みの一文を探してね。

続きを自分で創作する楽しみ方もアリですよ(^^♪

 投稿者こまったちゃん。 :2007年02月18日 23:10

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